昨日、あるお客様から電話があったことをきっかけに、
店主と深夜までブレストしました。

そして、決めました。

木糸土のオーダー家具は、一見様(いちげんさま)のみお受けします。
ご紹介の方は、お断りさせていただきます。
ご紹介の場合、HPをよくご覧いだだき、それでもオーダーしたいというお客様のみ
お受けしたいので、どうぞ直接お問い合わせください。

宮沢賢治の『注文の多い料理店』という本がありますが、
木糸土は『注文の多い家具屋』になります。


昨日あった出来事。。。。
紹介いただいたお客様のオーダー家具を製作中なのですが、
一部納品したものの、最後の部分がなかなか納品できずにいました。
途中で期限つきのオーダー家具の仕事が入ったことが主な理由ですが、
この途中ではいったお客さんは紹介者。
待っている紹介されたお客さんは、事情は知っているものの、
なかなか納品してもらえず、フォローもないといっているというのです。
そこに紹介した方が心配して電話をくれたのでした。



物作りというものは、非常にパワーがいるものです。
特にオーダー家具は、お客様の意に添うように、力を入れて作るものです。
毎日同じようにパワーがあればいいのですが、人間ですからそうはいきません。
非常に気難しい面が多分にあります。
その上、木糸土は店主とスタッフと2人でやっている工房、
キャパシティも限られます。


ほかにないものを作るのだし、最初から時間だけはたっぷりくださいといっているのです。
しかも納品したものは気に入っていただいてるのですから
せめて、直接文句を言ってくれればいいのに。。。

前回納品したものと同じパワーを注ぎ完成度の高い作品にしあげたい気もちでいました。
お客さんはよく心得ている方で、催促などせず完成度の高い作品を心待ちに
じっと待ってくれる人とこちらに甘えがあったのかもしれません。



紹介いただくのは、本当にありがたいことです。
よかれと思って紹介いただくのも、中に入ってやきもきしてしまうのもわかります。
私自信もそうでした。
でも、違うんだとだんだんわかってきました。


お金とかじゃないんです。作品をつくるのと同じです。
『金額以上についついやってしまうからお客はいつも特をする』
というのが店主の口癖です。


それだけのパワーをそそぐものづくりだからこそ、
店主にとっては、簡単にオーダーしてもらっては困るものなのです。
どうしてもという強いこだわりをもったお客様にのみ技術を提供し、よいものを作りたい。


いろんな技術を蓄積してきました。
これだけという分野をもってやっているところがほとんどな中にあって
店主は、箱ものも足ものも塗装も、デザインも、クラフトも
依頼されるままに仕事をし、勉強をし、本人のもっている挑戦意欲で
いろんなものを乗り越えてきたのです。


お客さんは、そんな積み上げてきた技術を一部ひょいと借りていくのです。
いいものが欲しいのであれば、じっと待ってほしい。
それが店主の本音です。



昨日家具業界のすみわけをご紹介しましたが、
工房家具をやっている人は、ほとんど自分の作りたいものを
作って売る方式をとっています。


オーダーを受けるというのは、技術や力量、デザインもできなければできません。
さらに、作ったものが、違うかもしれないというリスクが伴います。
だから、やりたがらないのです。


木糸土は、どうしてもという強いこだわりをもったお客様にのみ
技術を提供し、よいものを作りたい。


だから、『探して探してやっと見つけました。』というお客様にのみ
オーダー家具のご注文を受けることに決めました。