さて昨日の続き、20代の劇団追っかけ時代で、
とある関西の劇団のスタッフにスカウトされた頃の話です。
・・・
スカウトされてからは、制作チームのお手伝いさんとして、
ファンを招いてのお花見イベントの企画や、
ファンクラブ会報の発送のお手伝いや、
Webサイトで稽古場レポを書かせてもらったり、
公演のお手伝いをしました。
もちろん本業(サラリーマン)しながらです。
劇団員さんの中にはサラリーマンの人もいたので、
公演の2ヶ月ぐらい前から始まる稽古は、平日の夜や土日。
わたしも仕事が終わってから見学に行かせてもらってました。
初めての稽古場見学は、スカウトされた公演の次の稽古の時。
制作さんから地図をもらって、
「19時からなんで、ちょっと前に来て」と言われて向かいました。
会社にはナイショ。
「ちょっと用事があるのでお先に失礼します」といって
ニヤニヤしながら稽古場に向かってました。
「ちょっと前って、どれくらい前なんやろ?」
「6時半ぐらいに行ったらいいかな?」
なんて、緊張しつつ教えられた場所にいくと、そこは倉庫。
とある倉庫の2階が、その劇団の稽古場でした。
倉庫の横のドアから、鉄製の階段を登っていったときの
ドキドキといったらもう!!
1階は電気が消えて真っ暗で、鉄製の階段の上に小さい蛍光灯があって、
階段を上がりきったらドア。
恐る恐るノックをしてドアを開けたら、
下駄箱があってその周りに靴が散らばってました。
ふぅ、と深呼吸。
隅っこに靴を脱いで、もう一つのドアを開けると、もう、そこは稽古場でした。
黒く塗られた壁と、ガラス張りの壁。
ちょっと奥には小部屋があって衣装やら小道具やら、
その材料なんかがよく分からないものが詰まった
プラスチックケースがいっぱいあって。
そして、演出家用のテーブルと椅子。
コーヒーとタバコのにおい。
ひゃあ。
もう、緊張で緊張で、ガチガチでした。
ストレッチしている役者さんたち。
タバコ吸って雑談している主演男優さん。
衣装さんが忙しそうにしてて。
舞台の上にいた人たちが、すぐそこに。
どこを見ていいか分からないぐらい・・・
とりあえず、おずおずと
「おはようございます(で、いいんだっけ?)」と挨拶をして
制作さんの近くに佇んでみたりして。
だって、所在ないんだもん。
そのうち稽古時間になって。
座長さんがみんなに声をかけて集合。
「みんな知ってる子やけど、今日からちょっと手伝ってもらうんで。
ホームページとかやってもらうから、写真も撮ってもらうし。」
と紹介していただいたのです。
会社では、それなりにしっかりしてるんですよ。
でも、この時はただただ、自分の名前をいうのが精一杯でした。
その後の数時間のことは、覚えているようで覚えてない。
夢みたいな感じです。
確か、その日は台本とか無くて、ストレッチとか、
ダンスとかそんなのだったかな。
演出家さんの横に座らせてもらって、
役者さんが動いているのを、ぼーっと眺めてました。
時々、写真を撮ったけど、稽古の写真なんて始めてだし、
何を撮ってたのかは、さっぱり。
休憩時間になると、役者さんに声をかけてもらったり、
ジュースの自動販売機まで連れてってもらったり。
ただの追っかけなのに、こんなに親切にしてもらえるなんて感涙。
この劇団のチカラになりたい!
真面目に追っかけしててよかった。
そう強く思った夜なのでした。
(続く)