これもずっと見たかった映画です。
日本のホラー映画は「怖いものの大元を突き詰めれば人間」というパターンが多いと思いますが、海外のホラーは2種類あります。
すなわち「怖いものの正体」は人か、人以外か。
この「ドント・ブリーズ」は人しか出て来ません。
もっと言うと善人、というか良質な人間が出て来ません。
この世で最も怖いホラー映画、それは人間が暴れ回る作品だ!
あらすじをざっくり言うと「3人の若者が盲目の老人(元軍人)の家に強盗に入ったは良いが酷い目に遭う」というもの。
本当の恐怖は盲目の老人と若者達の恐怖の鬼ごっこではなく、その家に隠された秘密の方でした。
いや、恐怖の鬼ごっこも怖かったけどな。あのじいさん本当に盲目なんか?元軍人ぱねぇな。
今のどん底の生活から抜け出す為に何がなんでも金が欲しい若者、愛娘を事故で喪い孤独になった父親、それぞれ哀れではある背景はあるんですが、それにしても、いや、どっちもどっちでしょー…思ってしまうレベルの悪質さ。
悪質人間同士のガチンコバトルです。
それでも作中一番のトンデモ人間は、やはり元軍人の老人。
あのさぁ、娘を亡くしたからってさぁ…そういうのはさぁ…
娘を轢き殺した女を監禁している理由が、復讐の為だとか、もしくは娘を喪った哀しみのあまり気が狂ってしまい仇の女を娘と思い込んで家に閉じ込めていたとかそういう理由かと思っていたのにさぁ…そんな…ねぇ…
それが悪事だと分かって悪事を働いている人間がまだマシです。
自分がやっている事は悪でもなんでもないと思い込んで悪事を行う人間の方がよほど恐ろしい。
ストーリーそのものはそんなに派手というわけではないんですが、カメラワークの仕掛けが見事だった。
ああいう演出は好きだなぁ。