現時点で個人的に2020年最大の衝撃作品と言っても良い『ミッドサマー』
↑これ感想文↑
そのミッドサマーを撮ったアリ・アスター監督の前作「ヘレディタリー/継承」を観ました。
怖さで言えば「怖いんじゃ~~~~~~!」くらいの怖さなんですが(※個人の感想です)画面の作り込みというか、なんて言うのかな…【画】の構成が凄いんですよね。トリックアートみたいな感じ。
アリ・アスター作品の何が好きってその【撮り方】が好きなんですがそれはこの『ヘレディタリー』でも顕在でした。
ミッドサマーの方が色々凄かったのはレベルが上がってるって事ですよね…
次回作も決まっているそうですがめちゃくちゃに楽しみです。
主人公はミニチュア作家なんですが、まず冒頭のシーン。
こう、ミニチュアの家にズームアップして、そこから物語が始まって行く。
ありきたりな演出かもしれないんですけど、後々結末を知ってから見ると色々勘ぐってしまう。
これはひょっとしてこの一家の出来事が全てが計算されて、いや運命で決められていて起こること起こること「設計」されていることの比喩では?と思ってしまう。
兄妹が車に乗ってパーティーに向かうシーンの電柱の演出。
電柱を境にして「死線」を表しているよう。あ~これは何かあるな~と思ったらめっちゃ何かあった~
巻き起こる事は残酷極まりないんですけど、こういう演出が私は大好きで興奮してしまった。
ストーリー全貌としてはミッドサマーの方が恐怖度不気味度は上かなぁと思いました。
ミッドサマーは言ってしまえばド田舎のイカれた風習に巻き込まれ取り込まれるお話。
日本でもありそう、と思えてしまう所がヒットの要因の一つだったと思います。
というか私はそこが好き。
一方、このヘレディタリーは悪魔崇拝の団体が出て来ます。
私も過去悪魔が登場するホラー映画は登場しますが、見て来た作品との相性というのもあるんですが、その「悪魔の魔力によって起こした現象がめっちゃ残酷で陰湿」だから怖い、という感想は私も抱くんですが、悪魔そのものが怖いっていう感覚がどうしても起きない。
永遠のちゅーにびょうだから「え?悪魔?地獄の王の召喚?なにそれめっちゃかっこいいワッショイ!」みたいな感覚になってしまう。
これは前々から思っている事なんですがこういうものへの畏怖とか恐怖って根底にある信仰とかそういうものが絶対的に基になっていると思うんですよね。
だってもう悪魔とか地獄の王とか、召喚したら従える!ペルソナー!みたいな感じ。
なので決してこの「ヘレディタリー」が怖くないわけではない。
いけないのは私のちゅーにオタク心…
そんな私だってたぶん日本に纏わる何かだったらめっちゃ怖がると思う。シナリオ次第だけど。
いや、でも「オーメン」はめっちゃ怖かったな…
全ての悲劇は主人公の母が他界した事によって始まるのですが、何故この一家がこんな目に遭うのか?というその要因は主人公の母本人でした。
ただ血筋だったから、というだけで主人公一家は地獄の王ペイモンの降臨の為に他信者達から色々されます。
しかも仕掛けているのが主人公の母。四面楚歌。もう生まれた時点で詰んでいるのです。
それがただただ淡々と進んで行く。何に巻き込まれているのか分からないまま、一家は怯え恐怖し命を喪い、そして最後に残った長男がペイモンの依代となります。
この話には「どうにかならなかったのか?」がない。解決方法が一つもない。
始まった時から全て決まっていたのです。
身内が諸悪の権化だった、という辺りが、もうすげーおっかねぇと言えばおっかねぇんですが…いや、考えればめっちゃ怖いな…?うわ、こわ…(今更じわじわ来た恐怖
最後になるんですが、アリ・アスター監督は何か傷付いている時に近付いて来た親切な人にめちゃくちゃ酷い目に遭わされた経験でもあるんだろうか。