貴女がたのようなスケートファンになりたい、なろうと思ったのです | 杢ログ-Mokulog-

杢ログ-Mokulog-

杢燐-Mokurin-のブログです。みたものの感想などなど。

インスタの延長でこの文章を書いております。

 

私が初めてスケート生観戦したのは2019年のさいたま世界選手権でした。

 

その頃の私はちょっとだいぶ神経質で、人間不信というか、スケートファン不信に陥っておりました。

同担他担関わらず、です。

スケート用のアカウントも閉鎖し、色々と精神が限界でした。

 

そんな中訪れた生観戦の機会。

念願の初観戦です。テレビでもない、ライスとでもない、会場で見る本物の試合です。

アイスショーは何度か見た事がありましたが、試合は一度も見た事がなかった。

 

やっと羽生選手の戦う姿を目にする事ができる、大きな喜びの反面不安もとても大きかったです。

もちろんネットで持ち上がっている噂だけが全てではありません。

それでもやはり怖いものは怖い。

フィギュアスケートに限らず、スポーツ観戦そのものが初めてだった私はド緊張しておりました。

 

隣に座る人はどんな人なんだろう…と、ドキドキしておりました。

 

私は、その、羽生選手が好きだと言ったら面と向かって直接とてもものすごいどぎつい事を言われた経験がありまして、それがトラウマというかなんというか、トラウマですね!になっております。

 

その日の試合スケジュールはアイスダンスのフリーからの男子シングルのフリーでした。

私の席は端っこ。左は壁。座席があるのは右側だけ。ちょっとだけほっとしました。

 

ほどなくして隣の方が現れました。上品そうなマダムでした。日本の方でした。

さらにほっとしました。

 

1グループ目が終わったタイミングくらいですかね、とっても優しく話しかけて下さいました。

アイスダンスってテレビではなかなか放送されないからじっくり見るなら会場に来ないとね、とか。

私は今日が初めてのフィギュア観戦だという事を話しました。

すると「何か気になることがあったら言ってね。お手洗い行きたくなったら遠慮なく言ってね」と言って下さいました。

や、やさしい人だ…泣きそうになりました。

 

いや、演劇でも映画でも、ああいう場って見晴らしも大事ですが、それと同じくらい「近隣の席に座る」も大事じゃないですか…

私も、まぁそれなりに色んなすごいひとにぶちあたってきましたけどね…ハハハ…(かわいたわらい

 

その方は昔からのフィギュアファンで、試合観戦も昔からなさっているそうです。

ほどなくしてお隣のお連れ様もいらっしゃいました。なんとご姉妹でした。

それぞれ遠くの場所に嫁がれて、それでも姉妹揃って試合がアイスショーご一緒に見に来てるってなんてステキなんだろうって思いました。

「羽生くんの人気が凄いからチケット取るのも大変だしアイクリにも入れなくなっちゃったしね~」というお話に。

「アナタも羽生くんファンよね!プーさん付けてる!」と言われました。バレてました。

それからご姉妹と私と三人で、合間合間で楽しくお話させて頂きました。

 

男子シングルの試合が始まって私が「ステファン今日もかっこいい…」と呟いたら「ランビエールさんもお好き!?かっこいいわよね~」なんてことでも盛り上がりました。

みんな大好きステファン・ランビエール。

 

そして羽生選手登場。6分間練習が始まりました。

私はもう祈るように練習を見守っておりました。手を組んで。どうかどうか無事に。良い演技が出来るように。

「跳べますように…」と気が付けば口に出していました。

すると隣の方がそっと肩に触れて優しく声をかけて下さいました。

「大丈夫、跳べるわよ」と。

あれ…この御方達、もしやスケートの女神なのでは…?とか一瞬思いました。

その優しい一言に不思議とものすごく落ち着くことが出来たのです。

 

この日の羽生選手の「Origin」を生で観ることが出来た経験は一生の宝物です。

私は涙が止まりませんでした。なんて素晴らしいフィギュアスケートを観れたのでしょう。

号泣する私の背中をぽんぽんと撫でてくれました。本当にやかましくてすみませんでした…

ようやく泣き止んで謝った私に「喜びはみんなで分かち合うものだからね!良かったね!」と言ってくれました。

やっぱり女神様だったと思います。

 

あのお二人のことは今でも強く強くこの胸に残っています。ことあるごとに思い出します。

初めてのスケート観戦で出会うことが出来た優しいお二人。

あのお二人のおかげで私の初観戦はとても素晴らしく、そしてこの先一生ずっと心の支えになるような経験になりました。

 

その時からずっと思っています。

「あのお二人のような優しいスケートファンでいよう」と。

選手のこともファンのことも決して悪く言わない。優しくあたたかい言葉で語る。

スケートファンとして、私の一番の憧れの方々です。

あのお二人のおかげで気持ちが持ち直せた部分もとても大きい。

この感謝は決して忘れません。ありがとうございます。

 

辛くて嫌な記憶はきっと消えないと思うけど、それでも強くて優しい記憶だってたくさんあるから。

 

今日も羽生選手と善良なる羽生選手ファンのみなさまの健康と幸せを祈らせて頂きます。

 

回復した未来で、羽生選手の4回転アクセルを見届けられますように!