なぜか無性に
昔作った、あるパネルが見たくなって
仙台に持ち帰って来ました。
もう開けることはないだろうと思っていた、
頑丈に梱包されたパネル。
15年前。リーマンショック真っ只中。
大学を卒業して
勤めていたのは建築士事務所。
専門学校でステンドガラスを勉強しながら
シフト勤務で仕事をさせてくれていた、
とても理解のある社長でした。
でも、時代の流れには逆らえず
建築会社が軒並み倒産していく中
社長も苦渋の決断で会社をたたみ
私はステンドグラスの専門学校を卒業。
再就職活動を余儀なくされ
幸か不幸か、一部上場の建築不動産関係の会社に
転職することになるのです。
ステンドグラスの工房を持ちたい。
そんなのは夢物語のようにすら思えるくらい
生きるために稼ぐってことが
こんなにも厳しい現実なんだってことを
社会から学び
私はステンドグラスの夢に
そっと蓋をしめたのです。
あれから随分月日は流れたな~。
幾重にも巻かれた紐を解き
パッキンが外れたと同時に
15年前のあの時と同じパテの油っぽい匂い。
もう2度と
パネルを作ることはないだろうと思っていたのに…
なんてことを思いながら
まだ未熟だった15年前のパネルのパテ掃除をする。
いやいや、出るわ出るわ。
あの時、確かに最後は時間がなくて
仕上げまで丁寧に仕切れなかった。
にしても、こんなに雑だったんだ。
話にならんくらい汚いねー。
多分、きちんとやったつもりだったんだろうね。
まだまだ青いわ、私。
2、3時間やったくらいじゃ終わらない。
真夜中に没頭しながら
若くて夢に溢れていた頃の自分にほくそ笑みながら
昔の垢を落としています。