こんにちは。

グラスアトリエHAKUのkaoriです。


ガラスカットする時に、型紙をどう使うか


今回の話に限ったことじゃなく、ステンドグラスの作り方って、一つじゃないんですね

私自身、自分が教わってきた方法と違うやり方をされている先生に出会ったりして、戸惑ったり悩んだりしたこともあります。

そして最終的に出た私なりの見解を、今回は『ガラスカットと型紙』を例に、それぞれの長所短所をご紹介しながら、まとめてみようと思います。



1️⃣ 型紙をガラスにのせて、輪郭をペンでなぞり、そのライン上をカッターで切る。(型紙はどけておく)

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長所)
・カッターの動きに自由度が高く、切りやすい
・ピースの中のガラスの模様や流れが一目瞭然
同じ形のピースに型紙を使い回しできる。
型紙が傷みにくい。
同じ型紙を使って、同じ作品を複数製作できる。


短所)
製図図面とは別に厚紙で型紙を作る必要がある。

ライン上にピッタリとカッターの刃を当てるのが、慣れるまでは難しく、特に、内側にずれてしまうと修正のしようがない。


ちなみにピッタリ、というのはこういうこと。

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ちょっと見にくいですね。

さらに拡大してみます。

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カッターの刃のポイントは、ちょうど刃が山になったところの頂点なので、この部分がちょうど型紙ラインの内側にピッタリに合っていれば、ライン通りのピースにカットできてます。


総評)
カットの技術があれば、手早くカットをすすめることができ、ルーターがけもラインをみながら削ればいいのでラク。



2️⃣ 型紙をノリでガラスに貼り付け、型紙をガイドにしてその輪郭をカッターで切る。

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長所)
・型紙は製図図面をコピーしたものでいいので、厚紙で型紙を作る手間が省け、紙も薄くてハサミなどで切りやすい。

型紙がガイドになるので、カットがしやすい。(逆にしにくい、という人もいます。

・カットがズレても、型紙がガードになって型紙の内側にスコアが入ることはないので、ルーターで修正が可能

・型紙が一つずつ独立しているので、型紙を切った通りにガラスがカットされるので間違いがなく、隣接するピースとのズレが生じにくい。


短所)
・型紙全てを一つずつ切り貼り付けなければいけないので、手間がかかる。

型紙は一回きり

型紙の上にカッターの刃が乗ってしまうとうまくガラスにスコアが入らない。

・カットに失敗すると、再び同じ箇所の型紙を作りなおさなければいけない。 →この時、隣接するピースとの関係性が失われる。

・ルーターがけの際、紙が水でまけてしまいラインがわかりづらくなる

・ルーターの際、型紙より内側に削れてしまった部分が確認しずらく、表側から見ると大丈夫でも裏側からみるとラインが美しくでていないことが多い。


総評)
全てのピースがバラバラの形の場合や、複雑な形のピースが隣接しあうデザインのものなどには向いていますが、総合的に見ると手間がかかる…かな?




3️⃣ 型紙をガラスに乗せ手で押さえ、一辺ずつ切るたびに当てがい直しながら、型紙をガイドにしてカッターで切る。

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長所)
・1️⃣や2️⃣にようにラインをペンで引いたり、型紙を貼ったりする手間がないのでラク。

・カットする度に一辺ずつ型紙をあてがい直すので、カットを進めながら、都度ズレを修正していくことができる

同じ形のピースに型紙を使い回しできる。

同じ型紙を使って、作品を複数製作できる。


短所)

・製図図面とは別に厚紙で型紙を作る必要がある。

・オイルカッターのオイルが染み込んでしまうので、型紙が弱くなる
(ダイヤモンドカッターを使用する場合は、オイルを使わないので問題ない。)

・耐水性(耐油性)の強い厚紙を使用するとよいが、コストパフォーマンスが悪い。

カットの際に型紙が滑ると失敗する

・ルーターがけの時のガイドになる印が何もないので、改めて型紙を当てて、削りたい部分に印をつける手間がでる。


※(ダイヤモンドカッターって何?って方はこちらを)
         下矢印下矢印


総評)
1️⃣や2️⃣のように、型紙を一つずつ切ったり書き写したりという手間は省けるが、型紙がズレないように、抑える方の左手にもしっかり力を入れるので、疲労感は大きいかも?



【まとめ】

工房や人によって、やり方は様々です。まだまだやり方は他にもあるかもね。
みなさん、それぞれにこの方法がいい!という主張があるはずです。


ちなみに私が通っていた学校では、全工程にヨーロッパのステンドグラス専門学校と同じカリキュラムを取り入れており、3️⃣の方法でした。
(使用するガラスが全てサンゴバンのアンティークガラスで、カッターもダイヤモンドカッターだったという前提です。)

あとティファニーランプを作る場合も、カッターはオイルカッターでしたが、既製品の型紙が耐水性で強く、同様に3️⃣の方法でやっていました。


今までで私が見てきた個人の工房の先生方は大抵、1️⃣か2️⃣の方法でした。


でも、やり方はいろいろですが、これじゃなきゃダメ、なんてことはないんです。

そりゃそうですよね。
紙一つ切るにしても、ハサミ、カッター、デザインカッター、いろいろ方法はありますが、
切るラインによって向き不向きはありますし、作り手の得意不得意もあれば、好みもある。

絶対これで切らなければいけない、なんて正解はありませんよね。
ようはきちんと切れてればいいんです。笑


いろいろ試してみて、自分が一番やりやすいと思った方法でやればいいんじゃないでしょうか

なんとも無責任なまとめですがσ(^_^;)


で、結局、私がどの方法に行き着いたかと申しますと・・・1️⃣2️⃣3️⃣ともごちゃごちゃに取り混ぜてやってますてへぺろ

ピース数やデザイン、ガラスの柔らかさ(カットのしやすさ)、直線が多いのか、曲線が多いのか、いろいろと総合的に見て、とにかく一番ラクで、きれいにできる方法はどれかなって、いつも考えてます

直線の場合は型紙を作らないことも多いですチュー


みなさんもいろいろ試してみてくださいね。