ドヴォルザーク
序曲『オセロ』op.93
スーク
組曲『おとぎ話』op.16
リムスキー=コルサコフ
交響組曲『シェラザード』op.35
指揮:川瀬賢太郎
ソロ・コンサートマスター:石田泰尚
2017年もいよいよ大詰めの12月。
そんな師走のオープニングを飾るコンサートは、神奈川フィルのみなとみらい定期演奏会♪
前回のポンマーさん指揮した定期演奏会から僅か2週間後と合間が短め。
なのでいつもの久しぶり感はなし。
まだポンマーさんと神奈川フィルのスコットランドの余韻も残ったまま。
しかも、今シーズン、常任の川瀬さんが定期を振るのもこれで最後。
そのプログラムにチョイスしたのは、上記曲目♪
選曲の妙と言うのかセンスが良いと言うのか実に拘りを感じるプログラム♪
前半は、ドヴォルザークのオテロとスークのおとぎ話。
このふたりは、皆さんご存知のとおり、師弟でありながら、義理の親子(スークの奥さまは、ドヴォさんの娘さん)、このふたりのストーリ性ある曲目を並べる選曲の旨さ。
しかもスークの作品は、実演で聴ける機会は少ないのでかなりレア(個人的にはフルシャ指揮都響以来)。
(オテロの方も滅多にプログラムに乗らないかも)
後半は、ちょー名曲シェラザードを持って来て、盛り上がりも計算。
全曲、物語を音楽化した曲であること
チェコとロシアのスラブもので統一感を出す
しかも、おとぎ話もシェラザードもコンマスのヴァイオリンソロの聴きどころがある
など、プログラムに拘りと統一感を出すマエストロ川瀬と神奈川フィルの選曲の旨さに脱帽。
プログラムを見てるだけでも『聴いてみたいー』と思わせるのは流石です!!
さて、一曲目のオテロですが、ドヴォルザークが『自然と人生と愛』というテーマで書いた三曲の序曲の中の一曲…その中でめちゃくちゃ有名なのは謝肉祭で、オテロを含むあとの二曲(もう一曲は、『自然の中で』)は、実演で聴ける機会は、少ないと思います(フルシャ都響が偶然にもオテロを今月取り上げます)。
序曲と言っても15分と長め。
有名な謝肉祭と比べると冗長さを感じますが、謝肉祭でも出てくるお馴染みの旋律もあったりと、聴き込むとそれなりに面白い曲、
川瀬&神奈川フィル、出だしの金管が『今ひとつ』感あったものの後半に向けての盛り上げはなかなか上手い。
もう少しオケが洗練された響きならなお良かったのですが、多少荒削り感あり。
前半部分冗長さが目立ったけど、ラストの畳み掛けは、川瀬さんも渾身の指揮ぶりでド迫力でした♪
二曲目のスークの『おとぎ話』
ちょーレア曲。
生で聴けるだけでも感謝♪
2曲目のポルカは、師匠であり義父であるドヴォルザークの影響もあり、この作品の中では唯一親しみやすさを感じるけど、全曲だと1回、2回聴いただけでは、この曲の面白さはわかりずらいかも。
スークの作品は、チェコのR.シュトラウスと言えなくもなく、雄大な管弦楽の響きにチェコ音楽の語法(スメタナやドヴォルザークのDNA)巧みに織り込んではいるけど、親しみやすさという点では、先人たちと比較するとかなり低いかも。
チェコ出身の指揮者がスークやマルティヌーを取り上げるのと同じく、英国の指揮者が英国音楽を取り上げるのに通じるとこもあり、わからない人にはつまらず、好きになるととことんハマるのも似てるかも(笑)
そんなスークの作品ですが、川瀬&神奈川フィルからは豊かな音色がみなとみらいに響き渡り、オテロで感じたオケの粗さも感じず実に見事!!
弦楽セクションの豊かな響きは、今シーズンの神奈川フィルでも最高ランクかも!!
木管は、相変わらず上手い(フルート江川さん、オーボエ古山さん、クラリネット齋藤さん、ファゴット石井さん)‼︎
ホルンは、新メンバー坂東さん。
トランペットも新メンバーの林さん。
このふたりともかく上手い!!
安定感ばっちり!!
特にトランペットは、神奈川フィルでは弱さを感じていたのが林さんのお陰で、スッキリ!!
各奏者が上手いのはもちろん表情付けも上手く、川瀬さんかなり勉強したのではと感じさせました(譜面も付箋だらけ)。
前述したらようにこの曲は、コンマスのソロあり(1曲目と終曲)。
石田さんの情感豊かなソロは、本当に素晴らしく、これ聴けただけでも『幸せー』って感じ。
またヴァイオリンソロと絡むハープの音色も素敵で、この辺りは、シェラザードと類似性も感じさせ、後半に繋がり、選曲した川瀬さんのセンスを感じさせます。
実演は、フルシャ都響に次いで2度目ですが、今回の川瀬&神奈川フィルの方が個人的には感銘度高かったです♪
ともかくレアな曲を素晴らしい演奏で聴け大満足!!
後半、シェラザードは、大熱演!!
神奈川フィルからダイナミックな響きを引き出し、この交響絵巻を巧みに指揮するマエストロ川瀬♪
前述メンバーによるオケも絶好調!!
ホルンは、坂東さんから豊田さんに選手交代。
序盤、若干線細さを感じるものの、徐々に安定し、見事なソロを聴かせてくれました(特に第三楽章の若い王子と王女のホルンソロは絶品♪因みに従兄弟の説によるとJ.ウィリアムズのスター・ウォーズのレイアのテーマは、この箇所にインスピレーション受けたとんじゃないかと言ってました…??)。
豪快に鳴り響くトロンボーン&テューバチーム(第二楽章での2番トロンボーンのソロはお見事!!)。
打楽器チームのリズム感(因みに打楽器チームは全プロで大活躍!!)。
トランペットは、流石林さん!!
鮮やかな響きは、今までの神奈川フィルからは考えられないくらい!!
主役とも言うべきヴァイオリン・ソロの石田さんは、もう濃厚に歌いまくり、しかも美音♪
凄いぞー組長(叫)
そして、ヴァイオリン・ソロと共に重要なチェロのソロは山本さん。
こちらも流石!!
大人の貫禄!!
ふたりの絡みが聴けるシェラザードなんて、何とも贅沢!!
うー!!
今日の神奈川フィルは、本当に凄い!!
管弦楽法の達人であるリムスキー=コルサコフだけあって、各楽器の聴かせどころも多いこの曲♪
神奈川フィルのメンバーは、見事にマエストロ川瀬の期待に応えていたと思います♪
5月に聴いたシルヴァ東響のシェラザード(前回の記事♪)は、一本調子だったけど、こちらはマエストロ川瀬の構成力と神奈川フィルの熱演で、断然上!!
年末に素晴らしい演奏と出会えたことに感謝です!!
神奈川フィル史上に残る名演だったと思います♪
実は、マエストロ川瀬でシェラザードを聴くのは2度目。
前回は、もうら10年くらい前になるのかしら。
山梨県(都留市うぐいすホール)で若き(今も若いけど)川瀬さんが指揮したの聴いたのが実は初生シェラザード(もちろん初川瀬さん)
川瀬さんは、当時デビューしたて。
オケは東響でコンマスは大谷康子さん。
ハープや鳴り物楽器が多く、楽器の搬送も大変なので、あまり地方公演では取り上げる機会が少ないシェラザードを山梨の片田舎で指揮しようとする川瀬さんって指揮者は凄いなぁーと当時感嘆しつつ、もちろん演奏にも感動したことを思い出し、たまたま終演後、ロビーでご挨拶をしていたマエストロにお話したら、マエストロもそのことを覚えていらしていて、『あっ!!覚えてます!!ぼくが22歳くらいで、デビューして間もない頃でしたね。そう!!あれは東響で…云々』と懐かしそうに語っていました。
あれから10年後のシェラザードは、川瀬さんの成長を感じさせ、凄い指揮者になったものだと改めて実感。
マエストロに『また10年後にシェラザードを(笑)』とお伝えしたら、マエストロも『是非10年後に振りたいですね』と爽やかに仰ってまさした。
もくさんにとっても2度目の川瀬さんのシェラザードは、また良い思い出となり、本当、出来ることなら10年後に川瀬さんの3度目のシェラザードを聴きたいものです(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°
さて、神奈川フィル来シーズンのプログラムは、かなり意欲的!!
マエストロ川瀬のマーラー4番やバーンスタインの作品、ロットの交響曲、ヴェルレクなどこれは聴き逃せないぞー的なプログラム♪
もくさんは、仕事の関係で来シーズンは、神奈川フィルに限らずコンサートに行ける機会は、あまりなくなりますが、聴ける範囲で神奈川フィル応援して行ければと思ってます(*^▽^)/★*☆♪
2017.12.2(SAT)
14:00
横浜みなとみらいホール 大ホール
※開演前に川瀬さんによるプレトークあり。