先月、新宿サブナードで開催していた「古本浪漫州」というイベントで偶然発見した荒俣宏の本。
「しるし」と言ってもいろいろある。
「しるし」と訓(よ)むことのできる漢字を見ていくと、領域が広いことが分かる。
「印」「表」「章」「旗」「祥」「験」「掲」「徴」「標」「識」
点と線音と意味、これらの最小要素からあらゆる「しるし」は生まれたと著者は述べている。
線について20世紀の画家カンディンスキーは、形をうみだす全要素の基本と位置づけられ、平行線は「冷」を、垂直線は「温」を表現するものと定義されたそうだ。
そんなふうに平行線や垂直線を見たことがなかったのでビックリ。
数をあらわす「表」(しるし)について、興味深いことが書いてある。
ギリシア人は「一瞬」という時間の概念も、カバが河面から顔を出して周囲を見まわし、ふたたび沈むまでのあいだと定義していたという。カバが時間のしるしだった。
思わずそんなカバな、いやバカなと思った。
カバが時間のしるしとはギリシア人の頭の中を見てみたいなあ。
荒俣宏の本は新たな発見があって面白いなあ。