地図は描かれた当時の様子を知ることができる貴重な資料だ。






2つの種類の地図から、地図が果たしてきた役割に迫っている。





一本道地図とネットワーク地図について著者は以下のように説明している。





一本道地図とは、ある一本の道筋を旅するときに、どういう風景、風物、みどころ、目標物、その他旅行者にとって必要なものや興味をひくものが次々に現れるかを示す地図、いいかえれば、いろいろなものの線的な順序を示す地図。





ネットワーク地図とは、名の通り、道路網、鉄道網、航空路網その他のさまざまな種類ネットワークを表現する地図をいいます。





最初に「方向性をもつ一本道地図」を取り上げている。





「方向をもつ」について、あるきまった出発点からこれまたきまった到達点(目的地点)へ向かうための、という意味ですと述べている。





ヨーロッパ中世の巡礼地図では、13世紀半ば頃にマシュー・パリスが作った、ロンドンからエルサレム(実際はイタリア半島のプリア)までの、巡礼に必要な道中図を取り上げている。






どのような地図かと言うと、横幅約12センチメートルの、縦に長い帯の中央にエルサレムへ向かう行程を一直線に描いた絵巻物のようなもの。





宿駅名と隣接する宿駅間の所要日数が記入されている。





旅と言っても今のように快適な乗り物のない時代で、しかも照明もなく、舗装もされていないので、旅をするのは大変だった。





パリスの一本道地図は、聖職者をはじめとする知識人や教養人が参考のためあるいは教養に資するためにわざわざ出向いて「拝見」するためにつくられた、修道院の貴重な備品であったと説明している。





印刷物自体、今のように出回っていないし、書いてある文字を読める人も限られていたからなあ。





パラパラページをめくっていくと熊野古道マップを取り上げている。






「紀州路の旅、歴史の道・熊野古道たずねて」という、本宮町、中辺路町の両観光協会と和歌山県観光連盟がスポンサーになって、小池洋一の監修下で両岡綜合印刷が編集した。





1977年に発行され、希望者に無料配布されている。





所々のポイントと下に写真と説明が載っている。




ブラブラ歩きながらいろいろ知ることができる。




この他にも古今東西の地図が載っていて興味深い。