観光はいつの時代も人々の心をウキウキさせる。





今まで無事に残っていたなあと思うのが、昭和初期の観光パンフレット。




今回の本は、近畿・東海・北陸編。




北陸といえば、先月北陸新幹線で金沢から敦賀間まで行けるようになった。




福井といえば昭和の頃も有名なのが永平寺。





先月、永平寺に参拝してきたが、多くの人でにぎわっていた。





大正と昭和初期に鉄道が永平寺まで延伸して交通アクセスが良くなった。





昭和5年に、永平寺は二祖狐雲禅師650回忌が行われて、4月24日から5月14日まで3週間の大遠忌だった。





この当時、福井商工会議所は永平寺最大の行事を千載一遇のチャンスととらえて、キャンペーンを開催した。




「参拝団体各位御優待」というパンフレットがあり、そこには福井の鳥瞰図と、裏面に7つの優待事項を記していた。




1.入浴無料・理髪無料・紅茶献呈・活動写真観覧無料・茶代謝絶




2.園芸の催しで、無料で観覧できるように交渉中



3.各種競技大会を開催し、観覧に供する。(東京の大学チームなどを招いての試合)



4.福井市内各商店で20銭以上の買い物をした人に福引抽選券を進呈




5.団体参拝客の記念写真を無料で撮影し、大中版に焼き直して贈呈



6.曹洞宗寺院住職に対して、福井市内の特定の寺院を開放して無料宿泊の接待




7.福井県産の織物、食料品などの土産物の特価発売




この中で目立つのが4番目。




アメリカ旅行費(現金3000円)、自動車1台(現金2000円)、支那旅行費(現金500円)が各1本。





この他にも、夫婦での西国三十三所参拝費(120円)各5本など気前がいい。





さすがにやりすぎて国からお達しがあり、アメリカ旅行と自動車1台の景品はやむなく取り下げることになったそうだ。





しかし、福井商工会議所の意気込みが伝わる「御優遇」だな。




あれから月日が流れ、北陸新幹線効果で福井が賑わっている。





奈良県にある吉野山のパンフレット「吉野山名所図会」(昭和2年)は、桜の花が満開の図会になっている。





吉野山旅客索道(吉野山ロープウェイ)が開通するのは昭和4年なので、まだ描かれていない。





様々な味わい深いパンフレットとその背景を知ることができる貴重な資料となっているので、読み応えがある。




GWに旅行に行く予定の人もそうでない人も楽しめる。