grammarは、古フランス語グラメールgramaire、gramoireの借用だった。この古フランス語は、ラテン語グランマティカgrammaticaから来て、さらにギリシア語のgtammatikeにたどり着く。
- フランス語 語源こぼれ話/田桐 正彦
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文法のgrammarと魅惑のglamourには、あやしいつながりがあった。つづりが違うから全く関係ないのかと思っていたら、深い関係にあった。
昔の文法と言えば、ギリシア、ラテン語文法で、一般庶民は文字を読み書きできなかったので、不思議な言葉に思えた。そんなところからグラメールは、「魔法の書物、魔法の呪文」となった。
その後、グラメールは、英語に入った。「文法」のgrammarと、「文法、魔法」のgramaryeの2つの言葉が生まれた。
ところが、伝わっていくうちに誤解されることが言葉にはよくあるように、スコットランドでは、grammarが、gramaryeと一緒だと認識されてしまい、なまってglamer、glammar「文法」となる。このスコットランド方言が、18世紀に逆輸入されて、世の現役男性を惑わすあのグラマーな意味が出てきた。
ピーンと張っているところから魅惑的な女性を見たルパン3世をはじめとする男性のアンテナが反応するから、glamourなのかと考えてしまったが、そうではなかった。
語源を見ていくと意外な関係があって面白いものだ。ネクタイのフランス語は、cravate。元をたどると、「クロアチア人(の)」と言う意味がある。
クロアチア人は、首でスカーフを結び、胸に垂らす習慣があり、フランス貴族が見て言いと思いファッションに取り入れたところから来ているそうだ。グラマー同様意外な関係が見つかった。
ちなみに英語のnecktieは、古英語のhnecca「うなじ」から来ている。
英語の語源に関する本は何冊か読んだことがあるが、フランス語に関するものは初めてだ。他の言語の起源を表す本が日本語で出版されるといいなあと思う語源が大好きなモクモク羊であった。