マターと聞くと、昔勤めていた会社で
「それは役員マターだ」とか
「営業部マターだ」などと言っていたことを思い出す
それは役員の判断事項だとか、営業部が決めるべき問題だという意味だ
だから、てっきり私は Black Lives Matterを
黒人、命、問題
と単語を並べた標語だと思っていた
(ご存知の方は、下の長い英文のところまで読み飛ばしていただきたい)
以前、WAKOさんのブログで紹介されていた
(ので、すぐにAmazonで手に入れた)
越前秀樹著『「英語が読める」の9割は誤読ー翻訳家が教える、英文法と語彙の罠』(ジャパンタイムズ出版)
を昨夜読んでいたところ、こう書いてあった(pp.112-113)
Black Lives Matterは、文末にピリオドがないこともあり
matterを名詞だと勘違いして「黒人の生命の問題」と誤解するひとがいる
"Black lives matter."のmatterは「〜は重要である」という動詞だから
「黒人の命は重要だ」となる
別の本にも書いてあったが
matterは否定文で使われるのが普通で
肯定文で使うと「問題じゃないわけないだろう!」くらいの
反発・抵抗の響きやニュアンスを伴うようだ
越前さんは、Black Lives Matterの英訳としては
「黒人の命をないがしろにするな」が適訳かもしれないと述べている
さて、話はがらりと変わるが
もうひとつのmatterの話も同書の113ページから
同ページに、ダン・ブラウン著『天使と悪魔』(角川文庫)の
次の文章が紹介されていた
孫引き(requotation; requote; second hand citation)ということになるが
越前さんの本から引用する
9歳の娘と司祭兼物理学者である父親との会話である
"Papa!" she giggled, nuzzling close to him. "Ask me what's the matter!"
"But you look happy, sweetie. Why would I ask you what's the matter?"
"Just ask me."
He shrugged. "What's the matter?"
She immediately started laughing. "What's the matter? Everything is the matter! Rocks! Trees! Atoms! Even anteaters! Everything is the matter!"
giggle:クスクス笑う
nuzzle:鼻を押しつける[こすり付ける・擦り寄せる]
shrugged:肩をすくめる
anteater:アリクイ
同書が手元にないので確かめられないのだが
日本語ではどう訳されているのだろうか?
いずれにしても覚えておいて、どこかでチャンスがあれば使ってみたいと思う