シークエンス1
東京、渋谷。
夕方。
空が薄紫に変わり始め、ネオンがつき始める時間帯。
(画像は1秒おきに雑踏や看板など雑多なものを映し出す。)
駅前のスクランブル交差点。
(カメラ。広く俯瞰するポジション)
歩行者用の信号が青になり一斉に人々が歩き出す。
雑踏の中にぽつんとたたずむひとりの青年。
(カメラ。俯瞰のまま、2秒かけて、青年の表情をズームUP)
行き交う人々をうつろな目で眺めている。
(俯瞰のまま青年のひとみにズームUP。直後に瞳と同じ高さからのズームUP画像へ切り替わる)
(以下、青年の独白。)
(カメラはやや引きながらパンしていく。)
ああそうだ。ボクはきみのその笑顔を見たくていつもおどけてばかりいたんだ。
でも、その笑顔を見るのがなぜ大好きになったのかをずっと思い出せなかった。
(カメラ、センター街の雑踏を腰の高さくらいの視点で映し出す。)
だけど、今日はっきりと思い出すことが出来た。
(カメラ腰の高さのままで雑踏の中を移動する。青年の心がさまよっている様を象徴的に映し出す。)
(独白がつづく)
きみの笑顔の向こうには碧い空が見えるんだ。
きみの透き通った声を聞くと深く澄んだ海を思い出す。
(映像は海に切り替わる。砂浜。海岸。打ち寄せる波。)
だから、ボクはいつもバカなことばかりして、なんとかきみを笑わせようとしていたんだ。
そんな単純なことにすら、気づかないくらいボクは一途だった。
(カメラ。砂浜に打ち上げられたブイや木の枝を低い視点から映し出す。その向こうには浜にあげてある漁船が見える。)
でももうその笑顔を見ることは出来ない。
なぜなら、ボクがきみから笑顔をうばってしまったのだから。
(カメラ、パンしながら青空をズームUP)
(画像、クロスフェードしながら青年の瞳に戻る。瞳には雑踏が映っている。)
(カメラ、俯瞰の位置で青年のUPから一気にパンして雑踏全体をとらえる。)
クレジット、カットイン
to be continued・・・