2輪のレース、特にロードレースをよく知っている人には半ば常識ではあるが、実は同じコースを速く走るという目的であってもマシンがちがえば乗り方もラインも変わってくるものである。
例えば、コーナリングのライン。
125ccクラスの様に軽量でパワーのないマシンは割と浅めにクリッピングポイントを取り、立ち上がりはコース幅をいっぱいに使って加速してくる。
マシンが軽い分早く向きも変わるので立ち上がりにかけて加速するエリアを長く取りたいからだ。
これが1000ccのJSBクラスになると、マシンは重いし、パワーはあるし、と言うことでラインがかなり変わってくる。
ライダーによっても多少の差はあるが、125に比べればクリッピングを深めにとり、早めにマシンの向きを変えてから立ち上がりで加速できるように回ってくる。
もてぎの場合、ヘアピンで見ているとその差が顕著にわかる。(だから、マシンのセットアップのすすみ具合もここで見ているとはっきりとわかる。)
ラインだけではなく、コーナリング速度もちがう。
2輪をあまり知らない人にはちょっと意外かもしれないが、コーナー区間だけをとれば、JSBよりは125の方がずっと速いのである。
やはりこれは重量の差が効いている。
カメラを構えてファインダー越しにライダーを追っているとこの動きの違いははっきりわかる。
特にコーナーのイン側にいると、さらに顕著だ。
カメラマンとしての視点に立つと
125は速度は速いが、コーナリング中の速度変化が少ないので遮蔽物が無くて動きをずっと追ってこれるような場所では割とスローシャッターも切りやすい。
反対にJSBクラスとなると、クリッピング付近の速度こそ、125よりも遅いが、急激なブレーキングとパワーにものを言わせた加速のせいでレンズを振るスピードをあわせるのがむずかしい。
だから、全日本ロードレースを撮影すると、各クラス、各様なのでいい練習になる。
先日のもてぎでの速報?でも乗せたが、1/6秒でそこそこ止まったカットがこれ。
しかし、最近思うことがある。
撮影ポジションやライダーとの距離、背景、スピードなどで一概に言えないが、こんな風に感じている。
マシンを真横から撮る場合、「寄り」のカットではあまり遅いシャッター速度(以下、SSと略)よりは「ほどほど」のSSの方が「絵」としてはきれいだと言うことだ。
上の1/6秒のカットと同じポジションから撮ったカットだが、こちらのSSは、1/60秒である。
もちろんアタックの度合いでスピードに差があるかも知れないが、同じライダーだ。
やはり、下のカットの方が見た時に素直に格好いいと思える気がする。
上の1/6秒のカットは、素人カメラマンとして「撮れた」ことに対する自己満足しかないことに気づいた。(苦笑)
(いや、正確には以前から気づいては居たのだが、やはり技術の引き出しというか深さを身につけたいという思いの方が今はまだ勝っているため、あえてスローで撮影する機会が多いのだ。)
もっともアングルやマシンの動き方が変われば、やはり遅いSSで演出できる魅力はあるとは思う。
まだ画像の選定中だが、今回ヘアピンのイン側から撮ったカットはこんな感じである。
こういったカットだと、スローシャッターによる躍動感が演出できると思っている。
撮影データ
キヤノンEOS1DMark3、EF600mmF4、ND2フィルター、一脚使用
Ayモード、評価測光、露出補正-1/3、シャッター速度1/6秒
どうだろう・・・・・????