昨日、考えさせられるYouTubeチャンネルを見つけました。
リノが我が家にやって来て、もう八年になります。
時が経つのは早いものですねぇ。
喜び、絶望、歓喜、諦念……ありとあらゆる感情を体験させてくれたリノ。
最近は「平穏」とか「幸せ」を、家族に感じさせてくれています。
そんなゆるゆるに緩んだ日々ですが、ばあばは時折、「リノは、こうやってずっと寝たきりで幸せなのかしら? この人生に満足してるのかしら?」と考えたりします。
体調が悪くて、病院で注射やら何やらの処置が続いた日には、「生まれてきて、目も見えず耳も聞こえず、しんどくなると、どこかに運ばれて訳も分からない処置をされ、身体をつつきまわされて痛い思いばかりする。本人にとって現世は理不尽なことばかりなんじゃないか? いっそ早く神様のところに帰って、新しい命に転生した方が幸せなんじゃないか?」なんていうことも考えたりします。
リノは他の選択肢を知らないのですから、ばあばがそんなことを言っても『知らんがな』なんでしょうけどね。(笑)
ばあばが発見したYouTubeチャンネルは、【自分に正直に生きる】というテーマで、還暦ぐらいのお歳の女性が編集されている自叙伝風味のチャンネルです。
八ヶ岳の自然豊かな風景と、家族の物語。
けれど、そこに「妹のダンナさんが脳腫瘍になり、余命宣告された」という爆弾が落とされます。
そのダンナさん、五十五歳っていうことは、ばあばが大腸がんの手術をしたのと同じぐらいの歳だね。
普通は「もう歳だから仕方がない」と守りに入る人が多いのではないでしょうか?
ばあばも、「こりゃあ、この先もし何年かでも生きられたら儲けもんじゃ。ちょっと早いけど仕事もリタイヤして、悠々自適にのんびりさせてもらおう」なんて思ったものです。
でもこの妹家族は違いました。
九十歳を超えた両親と一緒に住んでいた横浜の自宅を売却して、ダンナさんの夢だったリモコンカーのカーサーキット場を開くため、姉夫婦を頼って家族総出で八ヶ岳に引っ越してきたのです。
おいおいおいおい。
大丈夫か?
ステージ4だよね! 二回も脳の手術をして、少し障害も残ったよね!
思わずばあばはツッコミを入れました。
ばあばと同じように思った人はたくさんいたのでしょう。なにせ結構な人がチャンネルを観ているようでしたから。
この迎え入れる側の姉夫婦(つまりチャンネル主さん)もたいしたものです。
遠くに住みすぐには動けない妹たちのために、彼らが買った土地の竹藪を刈り、木を切り倒し、ユンボで整地し、草取りをし、花を植えていきます。
その上、自宅近くの空き家を自腹でローンを組んで買い、両親と妹夫婦の仮住まいを用意します。
その家の庭も自分たちで整え、大きなウッドデッキも自作します。そうして「お迎え準備」と言いながら、家の中も綺麗に掃除していくのです。
……スゲ~。
開いた口がふさがらん。
どんな聖人?? と思うよねっ、皆さん!!
こんな聖人でした。
この人たちが飼っているニワトリ。四羽。
養鶏場で殺処分が決まった日に、引き取ってきたんだってさ。
家に来た時には、お腹に回虫がいて、ノミやら虱、皮膚の病気やらなんやらで毛が抜け果ててハゲちょびん。足も白くなり、殺されなくても死ぬ一歩手間状態。
……殺処分対象になるのも、しかたないよな。と、誰もが思う悲惨な姿。
四羽の内、ソラちゃんなんか足を何か所か骨折してて、うまく歩けないんだよ。
その子たちが、この夫婦が見守る中、庭を走り回り、裏山に散歩に行き、積もった落ち葉を蹴散らして虫を捜し、畑のイチゴやブルーベリーをつつきまわし、古民家の軒下で砂浴びをするうちに、しだいに元気になっていくのです。
古参のニワトリは毛が生えそろい、ボロボロだったソラちゃんだってみんなに遅れずに歩けるようになり、毎朝、おいしい卵を産んでくれるのです。
にわにはにわにわとりがいる。
ニワトリは庭にいてこそ、ニワトリなのかもしれません。(≧∇≦)
冗談はともかく、何時間もソラちゃんを観ていて、ふと、リノのことを思いました。
医療技術の進歩ゆえに、生かされてしまったリノ。
生かされただけなのか?
人工呼吸器に繋がり、ただ、生かされているだけなのか?
違うじゃん!
脳細胞、完全死滅。なんて言われていたのに、オシッコが出たら気持ち悪くなって声を出し、ばあばに「替えてよ~」って、訴えてくるよね。
リハビリで変な体制をさせられたら、「なんとかしちくり~」って、嫌な顔をするよね。
服が背中でクシャクシャになっているのをばあばが直したら、「ありがたや~」って顔になって、ぐっすりと寝入り込むよね。
生きているんだよ、リノは。
生物が自然に本能で生きるがまま、ただ、生きる。
シンプルに、ただ、生きる。
何も考えずに、与えられた条件で、その環境で、ただ、生きる。
難しいことはない。
生きる、っていうのは。
なんてことを思ったばあばなのでした。