阿波池田 を出発してからおよそ1時間20分が経過。
列車はトンネル内部でスピードを落とし始め、トンネルを出て鉄橋に差し掛かったところで停車。
私はその駅で下車した。
土佐北川(とさきたがわ)駅

1面2線の島式ホームを持つ無人駅。
ここは全国でも珍しい、鉄橋の真上にホームがある駅である。
何でもJRグループでは、そのような駅はここだけだとか。
吉野川の支流である穴内川に掛かる鉄橋に駅が存在しているが、始めからこのような特異な形態の駅では無かったそうだ。
土讃線は昭和61年に、自然災害を避ける為にルート変更工事が施された。
土佐北川駅はその工事に伴い元の場所から移設されたそうだが、地形柄鉄橋の上にホームを作らざるを得なかったらしい。
列車からホームに降りると、まずそのホームの幅の狭さに驚かされる。
鉄橋の上のホームだから仕方ないのかもしれないが、ホーム上で列車の通過を見送ると、身の危険を感じそうだ。
駅名標の写真だが、ホームが狭すぎて真っ正面から撮影できなかった為、斜めから撮った画像になってしまった。

ホームを階段で降りたところに、プレハブ製と思われる小さな待合室があった。

さらに狭い通路を進むと、駅の出入口にたどり着いた。
知らない人は到底、そこが駅の入り口だとは気づかないであろう。


駅を出るとまず目につくのは穴内川の美しい景色。
朝から厳しい日射しに清流が映え、心が洗われる。

そして駅の周りを散策すると、穴内川にそって国道が走っているほかは、民家が点在するくらいで、他は何もない。

非常に長閑で、自然を存分に満喫できるひとときである。
待合室に戻ると、駅ノートが置いてあったので、目を通してみる。
ノートの管理人は、ボランティアでこの待合室を定期的に掃除しているらしい。
それをみて何だか私もじっとしてられず、手伝いのつもりで待合室を掃除しておいた。
しかしこのような駅でも、手厚く面倒を見る人がいる。つまり、この駅も存在する意味があるのだ…
9時53分
下り須崎行き列車に乗り込み、次の目的地に向かう…

この旅の物語の続きは、こちらをクリック