湘南海岸公園駅 で数人の乗客を拾って、列車は発車した。
混雑したその列車は、住宅が密集している中にある、わずかな隙間をすり抜けるようにして走る。
そうこうしていると、またあっという間に駅に到着した。
「江ノ島(えのしま)駅」
駅構内には江ノ電本社事務所もある。
ここで下車する人、そして乗車してくる人ともに、大人数であった。
中には、団体様御一行も含まれていた。
相対式ホーム2面2線を有し、当駅でほぼ全ての車両が交換を行う。
ホーム間は構内踏切で結ばれる。
藤沢方面のホームには待合室が設けられており、そこには江ノ電の車両の運転台カットモデルを始め、車両の模型等が展示されている。
この運転台の前で記念撮影をする旅行客も少なくなかった。
また待合室の外には、本格的なジオラマが展示されており、列車を待つ乗客の目を楽しませている。
コンコースには自動改札機が設置されており、大勢の乗客の改札業務にも対応可能になっている。
改札の前には売店も設置されている。
この駅で下車した大半の人が目指すのは、一大名勝地「江の島」である。
改札を抜け、南へ徒歩15分程で江の島に上陸可能である。
江の島には、江島神社を始め、江の島サムエル・コッキング苑、江の島展望灯台、稚児ヶ淵、恋人の丘、ヨットハーバーなど、魅力的な観光要素が多数存在する。
しかし私は、今回の旅の目的の一つである、とある名物を手に入れようと、江の島には見向きもせずに目的の場所に向かうことにする。
改札を抜け、江の島とは逆方向の北側に足を運ぶ。
踏切を越え、国道467号に出たところで進路を東に変える。
国道に沿って少し歩くと、道路の真ん中に江ノ電の線路がひかれているのが見えてくる。
江ノ島駅から隣の駅までは、江ノ電は路面電車と化すのである。
しばらく待っていると、警笛を鳴らしながら、私の目の前をゆっくり列車が通り過ぎて行った。
列車を見送ると、道路の向こう側に別の江ノ電の車両が顔を覗かせていた。
よく見るとそれはある店舗で、本物の車両の運転台とパンタグラフが埋め込まれている。
この店舗は和菓子の「扇屋」。
私が「江ノ電の名物」と言っているものは、この店(と、鎌倉駅の売店)でしか購入することができない。
早速店舗に入ってみる。
すると、江ノ電で実際に使われていたホーローのサボ等、江ノ電に所縁のある物が展示されている。
この店と江ノ電とは、切っても切れない関係にあると見た。
そして、ディスプレイに掲げられている、江ノ電の名物を注文する。
それは、
「江ノ電もなか」
私が購入したのは、最中10個入りの詰め合わせ(1,300円)。
長方体の最中一つ一つが、江ノ電の車両の描かれたユニークな箱に詰められている。
パッケージの違いで、味も5種類に分けられている。
肝心の味のほうは、甘さも程よく控えられ、とても美味である。
江ノ電に乗って江の島を訪れた時は、必ずこの「扇屋」に立ち寄って、この「江ノ電もなか」をお試し頂きたい。
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