駅訪問の回想:東成田駅~芝山千代田駅 | もこ太郎の平成阿房列車

もこ太郎の平成阿房列車

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私が行った鉄道の旅をレポートさせて頂いています!
私のブログをお読み頂いて、鉄道の旅に興味を持って頂けたら幸いです!

千葉県内に、以前から一つ気になっている路線があった。



「日本一総営業距離の短い路線」をウリにしている、「芝山鉄道」。

成田空港のすぐそばを走る、全長2.2Kmの第3セクター路線である。



私の認識は、それまで日本一短い路線と言えば、故郷の和歌山県を走る「紀州鉄道」であった。

その紀鉄から日本一の座を奪った路線とあっては、真相を確かめない訳にはいかない。

私は成田市に向かうことにした。




平成24年11月17日


休日おでかけパスを使用して、JR成田線成田駅まで移動。

そこから徒歩2、3分掛けて京成成田駅に向かう。


京成成田駅は、上野・日暮里・船橋方面から成田空港を結ぶ「京成本線」の重要な中継地点となっている。

駅周辺も駅の中も、非常に賑やかな印象だ。


面白いことにこの京成成田駅はJRの駅と異なり、駅長室から一番離れた番線が1番線となっている。

さらに面白いことに、2,3番線、そして4,5番線は同じ線路を共有している。


この駅には跨線橋は無く、ホーム間の移動は地下道を利用する。

私は2番線ホームに移動し、そこから芝山千代田行きの列車に乗り込む。

芝山千代田駅まで、京成の車両が乗り入れる。


京成電鉄の路線は全て1,435mmの標準軌。

前面展望でかぶりついてみると、普段乗りなれているJRの狭軌と比べて、違和感を感じずにはいられない。


発車した列車は、高架の上を走り続け、市街地を映し出していた車窓は、徐々に雑木林が中心の風景に変貌する。


巨大な空港のターミナルビルが前方に見えてきたかと思うと、線路の分岐地点に差し掛かる。

ここが、空港第2ビル駅方面行き列車と、東成田駅方面行き列車を分岐させる、駒井野信号場である。

私が乗車している列車は直進方向に進むことになるのだが、成田空港に向かって伸びる線路は、その直進の線路を大胆に横切っている。

信号場を過ぎるとすぐにトンネルに入る。


程なくして、列車は地下のホームに停車する。

私はまず、その駅に降りてみた。



「東成田(ひがしなりた)駅」


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ご存知の方も少なからずいるだろう。

何を隠そうこの駅は、もとは成田空港ターミナルビルの最寄り駅となる「成田空港駅」として開業した駅である。


その時の名残として、ホームは2面4線の構造を持つが、現在使われているのは、そのうちの1面2線のみである。


そして、現在使われていないホームに目をやると


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お分かり頂けるだろうか?

暗がりの中に、「成田空港」の駅名標が撤去されずにそのまま掲げられているのだ。


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なお、現在使用されていないホームは立ち入り禁止となっている。


それにしても、いくらターミナル駅から途中駅に成り下がった駅とはいえ、あまりにも人の姿が無い。
冷たいコンクリートに囲まれた雰囲気も混ざって、不気味さすら感じてしまう。


もこ太郎の平成阿房列車


人がいないのに、改札に向かうエスカレーターは稼働しているようだ。


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エスカレーターを上がり、改札に向かう通路を進む。


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過去は人で溢れかえっていたのであろう改札内コンコースも、今は無駄な広さだけが目立っている状態である。


改札を抜けると、そこも広大なコンコースとなっているが、相変わらず人の姿は見受けられない。


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出口に向かう上り階段が、そしてその横にはエスカレーターが設置されている。


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しかしそのエスカレーターは、運転を停止して久しいらしい。


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階段を上ると外に出ることができる。


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そこは2つある空港のターミナルビルの丁度中間地点にあり、旅客用の施設は全くない。

どうやらこの駅は、空港で働く職員の通勤用として利用価値がある為、廃駅は免れているのであろう。


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コンコースに戻ると、大きな壁画があるのに気が付いた。


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「曲水の宴」と名付けられたこの壁画は、海外の旅客の目を楽しませる為に作られたものであろうか?

現在はその役目もむなしく、誰の目にも触れられないまま佇むしかない、といった感じだ。


壁画の前に立ち、右側を向くともう一つ出口を見つけた。


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こちらの出口に向かうと、先の方から人の話し声が聞こえた。

おそらくそこには警備員が居て、この出口を抜けるには厳重なチェックが行われるのではなかろうか?

面倒くさい目に合うのは避けたかったので、そこから離れることにし、またコンコースに戻ってきた。


コンコースをうろうろしていると、新たに作られたのが一目で分かるような通路が伸びている。


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この通路は、「空港第2ビル駅」に続いているらしい。

その通路を利用する人の姿は、全く見られない。


少し通路を進んでみると、


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駅まで500mの案内。そして、


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延々と続く通路…

この光景を見た瞬間、移動する気が失せ、引き返した。

こんなに長く伸びた通路でも、やはり人の姿は見えなかった…


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この駅に滞在中、私が見た人の姿は駅員一人と、乗客2,3人ほどであった。


この駅は栄華を誇る成田空港の「裏」の世界をまざまざと映し出しているようだ。

まさに、近未来都市の真っ只中にある秘境駅だ。



芝山千代田行きの列車に乗り込み、この寂しい駅をようやく脱出する。

ここから先が、芝山鉄道の路線となる。




列車は地上に出て、再び高架の上を走り、あっというまに終着駅に到着した。



「芝山千代田(しばやまちよだ)駅」


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終着駅だが、単式ホーム1面1線という最低限の構成となっている。

ホームは高架上に設置されている。

線路の先を見てみると、30メートルほど先にバラストが積まれており、その向こう側に車止めが設置され、そこで線路が途絶えている。

もこ太郎の平成阿房列車


東成田程ひどくはないが、この駅も人の姿はあまり見受けられない。


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駅前に出てみると、広大なロータリーの中にいる、巨大な埴輪の出迎えを受けることになる。

このあたりは、遺跡の出土が盛んだったりするのだろうか?


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駅周辺に民家は無く、非常に静かだ。

駅舎は芝山鉄道本社の家屋と併設されている。



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駅から直進距離にして1Km程離れたところに「航空科学博物館」があるらしいが、芝山鉄道を利用して来館する人ははたして存在するのか?非常に疑問を感じる。

この芝山千代田も、利用客の殆どが成田空港の従業員なのだろう。



線路の終端部付近に、九十九里方面への早期延伸を願う看板が設置されている。

この駅が、終端式ホームではなく単式ホームを有する理由が、ここで判明した。


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私としては、ぜひ路線の延伸が実現してほしいと願う。

なぜなら、それが実現すれば紀州鉄道の「日本一短い路線」の称号が復活するからだ。


日本一完乗の簡単な路線を乗り潰した訳だが、その感動は全く無かった。

それよりも、東成田駅の存在の方がはるかに衝撃的であったからだ。



離発着する旅客機を見つめながら、帰宅の途につく。


もこ太郎の平成阿房列車


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