西富岡駅 を出発した列車は、点在する住宅を分け入って進んで行き、あっという間に隣の駅に停車した。
「上州七日市(じょうしゅうなのかいち)駅」
単式ホーム1面1線と、小さな木造駅舎を構える駅。
駅は密集した住宅に紛れて存在し、駅前広場と呼べるようなスペースも無い程である。
この駅も曜日と時間帯によって駅員がいる場合があるらしい。
私がこの駅を訪れた時は無人であった。
駅舎をよく見ると、一般の住宅が併設されているように見える。
今はだれも住んでいなさそうだが、かつては駅員がここで寝泊まりでもしていたのだろうか?
そして面白いことに、この小さい駅には出入り口が2つある。
そのうちの一つは、住宅裏の細い路地に通じている。
どちらの出入り口にしろ、密集した住宅のせいで、駅から出た瞬間、多少の圧迫感を感じてしまう。
続けて隣の駅に向かう。
隣駅との間は、西富岡~上州七日市間と変わり映えしない車窓が流れる。
と思っていると、進行方向左側に鏑川が姿を現してきたところで停車。
「上州一ノ宮(じょうしゅういちのみや)駅」
瓦屋根の駅舎は、上信電鉄を代表するかのような、歴史のありそうな木造の建屋だ。
この駅も曜日、時間により有人駅になったり、無人駅になったりするようだ。
ここまで来て、ようやく連なった山々が間近に迫ってくるような景色に出会える。
ホームから、眼下に流れる鏑川の姿を臨むことも可能だ。
駅前には民家が点在するが、他の駅と相違なく、静かでのどかな時間が流れる。
この駅は、有名な社「貫前(ぬきさき)神社」の門前駅となっている。
この神社は、参道を下った低地に社殿があるという全国的に珍しい構造をしている。
下仁田行き下り列車にて、隣の駅に向かう。
保健所や工場を横目に列車は進み、民家が建ち並ぶ中に停車した。
「神農原駅」
難読駅名の一つだろう。
「かのはら」と読ませる。
単式ホーム1面1線と小さな待合室を有し、駅舎は無い。
非常に簡素な駅だ。
もちろん無人駅だが、かつてはこの駅にも駅舎があり、有人駅であったという事だ。
駅周辺は住宅地となっている。
ここまで駆け足で下車してきたが、気づけば残り3駅というところまでこぎつけた。
いよいよゴールが見えてきた。