11時32分
中根駅から、下り列車に乗り込んだ。
中根で降りた客は0人。中根から乗車した客は私1人。
車窓は相変わらず、一面の田園風景と、それを分け入って真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ伸びる線路を映し出す。
この田園風景が広がる区間には、警報機も遮断機も無い第4種踏切が多数存在している。
整備が追い付いていないのか?それともそもそも踏切を利用する人が極端に少ない為、整備する必要が無いのか?
列車も第4種踏切を通過する際に、あまり警笛を鳴らしていなかったように思う。
しかしなぜだろう?
変わり映えのしないこの田園の景色、いくら見ていても飽きが来ない。
しばらく走ってると、小川を跨ぐ鉄橋を超え、国道245号の陸橋の下をくぐる。その辺りから、車窓には住宅街が復活してくる。
周りが急に賑やかな雰囲気になってきたなと思ったところで、わりと規模の大きい駅に到着する。
「那珂湊(なかみなと)駅」
この駅にて、沿線で唯一の列車交換が行われる。
この駅には後で降りることにして、次の駅に向かう。
列車は那珂湊を出発した直後に、大きくゆっくり左にカーブする。
カーブが終わったかと思うと、再び真っ直ぐにのびた線路を前に前に進んでゆく。
そして列車は停車。
私はそこで下車した。
「殿山(とのやま)駅」
単式ホーム1面1線を有する無人駅。
しかし前は有人駅だったらしく、有人改札口、そして駅舎に窓口などもそのまま残されている。
駅名標のデザインは、ひたちなか市の花「ハマギク」と「ケイトウ」が描かれている。
ホームには必要以上に大きなベンチがあり、上屋には昔ながらの雰囲気の駅名標が取り付けられている。
駅を出ると、駅前は少し上り坂になっており、その坂を登りきったタイミングで住宅街に入る。
住宅街は非常に静かで、人通りも殆どいない。
ホームにいると目に入ってくるのは、記念モニュメントのふくろう。
近くの高校生が作ったようだ。
プレートには、「ありがとう湊線」の文字。
駅のホーム側は住宅が並ぶが、ホームを挟んで線路の反対側は草が伸び放題の空き地が広がっている。
それにしても、とても静かな駅だ。
しばらくホームに佇んでいると、静かな空間に突然警報機が鳴り始めた。
この駅には、列車接近ベル(電鈴)が設置されていた。
勝田行きの列車に乗り、一駅戻って那珂湊駅で下車する。
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