大阪市立芸術創造館で行われた
劇団 TheTimelessLetter特別公演
『Post Script』
12時からの「ねいろ組」のお話しを
を観劇。

あらすじ
突然の事故で亡くなった吉岡聡介と、闘病の末に亡くなった瀬田淳子。
2人は現世の者からは見えざる姿で48日間この世に留まり、 最期の日に大切な人の夢に現れることを許される。
しかし、その代償として1日1音ずつ「言葉」を奪われていく。
二人が最後まで守り抜く1音は、 そしてその1音で伝える最後のメッセージとは………………。
ねいろ cast
瀬田淳子・・・村田麻美
吉岡聡介・・・松田善希(パートナーズ・プロ)
わたせ・・・大原里香
ワタセ・・・ 神崎葉月(劇団TheTimelessLetter)
藤原文香………水野桜花
瀬田千鶴・・・。RUM(劇団TheTimelessLetter)
瀬田民子………松浦由美子
山下孝太・・・大町悠介(劇団ひまわり)
中村里佳子………山田あかね
尾澤ショータロー日山貴明………
武田咲…百崎さわ
成島…いとだりか
瀬田夏樹………三浦求(ポータブル・シアター)

カップルらしき2人の泣き叫ぶ女性の声が会場を包み緊迫した場面から、
光の球を持った女性たちが舞う
一気に神秘的な世界へと。
仏教での「四十九日法要」
49日間を、故人が極楽浄土へ向かうまでの期間(忌中)と捉えられています。
「いろはにほへと」の仮名47文字、48日目には1文字だけ残る
そして48日が終わった49日目に忌中が開け、天に召される。
このふたつを上手く結びつけてのストーリーは実に面白かった。
天に召される時、人はあの世への渡し人(わたせとワタセ)の説明を受け、次なる 進むべき3つの扉を開くこととなる。
1つは、直ぐに転生する扉。1つは、1週間だけ別の者に転生し、残してきた人のそばにいることが出来る扉(ただし、本人だと気づかれた場合は、全ての記憶が消され、自身も消滅する)。1つは49日間そばにいることは出来るが1日毎に1音ずつの「言葉」を奪われていくという扉。
私なら…、この時点でもうこのお芝居の中に前のめりに入っていたのだと思います。
突然の事故で無くなった命、闘病という期間があって無くなった命。ふたつの亡くなり方の違いで、主人公の聡介(松田善希)と淳子(村田麻美)の、49日間の初期の違い、結局は終盤にかけての同じ様に残された者への思いだけという心の変化と流れ
溢れ出る優しさと温かさは上手く表現されていたと感じる。
そして残された彼女文香(水野桜花)、娘千鶴(°RUM)。
体力的にも精神的にもとても疲れる演技だったんじゃないかと想像する。
全般を通してとても重い演技、そして表面上ではそれを隠そうとする、でもそれ以上の溢れ出る感情で分かってしまう。
隠さうとする表面上は明るくする、だからこそその気持ちは観ている者に強く刺さる
その思いは十分に伝わったように思う。
ある意味私は、このふたりがこの話しの主人公であるように思っている。
この先文香と千鶴のふたりには幸せであって欲しいと願う。

向かって左の千鶴(°RUM)と文香(水野桜花)
淳子の妹であり千鶴のおばさんにあたる民子(松浦由美子)。
奇抜な衣装で、姉の葬儀に参列。大阪のオバチャンの様にズケズケと…、無神経そうに見えて実は。
どちらかと言えば重い空気の多い話しの中で、唯一と思われるくらいにその場面を和ませてくれる存在でした。
私は、泣けるお芝居というのは、役者さんたちがずっと泣いているお芝居ではなく、
優しさや笑顔があってこそのものだと思っています。
そこを観る人が想像して受け取り、込み上げてくる、そんなモノが泣けるお芝居だと思っています。
その意味でも、民子がこのお芝居では肝だった。
笑える場面も多くあったし
姉淳子との関係性、千鶴への思いと思い違いによるズレを、民子の彼孝太(大町悠介)で上手く修正。
葬儀の奇抜な衣装の回収も上手く出来ていた。
私なら一言(1音)を残すなら何だろう?
私は、何かを傳えたり残せているのだろうか?
自分の思い込みで、誰かのことを嫌いになったりしてるんじゃないだらうか?
そしてそこまで思ってもらえている人がいるんだろうか?
大切な多くの「?」を見つめ直すキッカケとなる良い作品でした。
P.S.
次の世界への案内人であり天への渡し人
わたせ(大原里香)と、ワタセ(神崎葉月)。まるで違うタイプであるこのふたりの謎
なぜ渡し人として存在しているのか?どういう経緯でなったのか?
妙にそんなことが気になった。
