演劇集団 MALACHITE 第4回公演
マリンスノーの雪解けを
大阪旭区の大阪芸術創造館での海組の公演を観ました。

溶けない雪は
どうしたらいいんだろうね。」
芸術家の集まるアパート 『マリンヒルズ』
そこに住む住人達は共に夢を語り夢を追う。
そんな住人達にプロデューサーを名乗る男が近づく・・・。
清算出来ない過去、決断できない今が雪の様に心に降り積もる。
演劇集団 MALACHITE が送る
決して溶けないマリンスノーの雪解けまでの物語

マリンヒルズに住む芸術家さんたちの人となりも入れながら
主人公海雪を中心に描かれた作品。
マリンヒルズのリビング(共有スペース)の舞台は、まるで少女漫画や小説をそのまま抜き出したような、そんな少し生活感が感じられないような素敵な空間になっていました。
始まる前にBGMとして聞こえていたのは波の音、そこに一時だけでしたが鳥の鳴き声が
この事だけでこの建物が海の近くで家の裏には小さな森なんだろうか、そんな想像が出来た。
このマリンヒルズの持ち主(育ての親の祖父母が旅館として使っていたのを譲り受けた)榊 悠大(中島和毅)のキャラをみても、青春ど真ん中な行動をみても、作者か演出家さんはきっとロマンチックな方なんだろう。
この物語は、母子家庭で教育熱心さ(子供には苦労をして欲しくないと願う)故に暴力を振ってしまった母漆原 圭子(鎌田恵弥)と海雪(兎茉郁季)
17歳で妊娠、そのため彼は逃げたが子供を産み育てるという母親 神谷 美里(片岡七海)と自分がその時の母と同じ歳になり不安定な気持ちで母に反抗してしまう娘 京(篠崎果琳)
売れてない俳優 有家 航平(豊山大稀)が、他の住人カメラマン喜代花やデザイナー 平山 奈緒(中川理彩)が成長していく姿を見て焦り、その焦りにつけ込む彼に近づく怪しい 大口 冬樹(如月優雪)
と、さもすると全体的に暗くなってしまう内容にもなっていましたが
兎に角明るいカメラマン 住野 喜代花(香菜海)の演技であったり
航平を応援する海雪の親友 飯豊 彩(桜木ひまり)の存在が
上手く暗くさせることなくいかされていた。
あわよくば、全員で乾杯して盛り上がるシーンなど、このマリンヒルズがもっと楽しく過ごせる場所であることを印象づける事が出来ていればもっと強弱がついて良い話になったとは思う。
作家を夢見る海雪が、運命的に出会った逢坂ゆき作の本
そして、その中の言葉
高校1年の海雪と悠大との出会い。
海雪目線でのシーンと、悠大目線でのシーン、これで全ての伏線が回収されていくのはスッキリして良かったです。
キッチリとした台詞は、台本が売り切れていたので正確には書けませんが
本の中にあったとされる
「言葉や経験は雪のように降り注ぐ。しかし、その積もった雪は何時かは溶ける。
その溶けたものは(心に)染み込むか、流れて行くのか・・・。
マリンスノーは海の底に積もる雪、その雪は溶けない」
というような内容だったような・・・
海雪が何度も言う台詞なのですが、最初に発した時は
海の底を表すような泡の音に負け聞こえにくくさえ感じたものが
最後には弾むように強く発せられていたように感じたのは
演出だったのであろうか。
本当に少女漫画を舞台にしたような青春な舞台でした。
前に進む元気をいただきました。
※作家は別に東京に出なくても十分にやれます。逆に活躍している作家さんは地方にいることが多いです。
湊かなえさんも淡路島に住んでいますし、ウチの息子(売れっ子じゃないですが)も作家として大阪でやっています。
漫画家さん(いとこ)は東京住みが便利な事は多いようですが。
これは、話の展開上意味はなかったのですが、航平が自分の力で頑張るために上京、海雪も頑張る為に上京するという良い場面が故に妙に引っ掛かってしまって
ついつい心の中でそれはないぞー!って叫んだだけ(笑)