http://www.kunitakahashi.com/
中東やアフリカの紛争取材で活躍する報道カメラマン/高橋邦典さん。
現在はムンバイ在住です。
鋭い観察眼で、
広角レンズを用いて冷静でいて深い写真をものにするプロフェッショナルです。
今回拝読したのは、
高橋さんがカメラマンになる前から現在までを振り返ったエッセイ&写真集。
どんな気持ちで、思考回路で目の前の事象を切り取るか、
葛藤も含めて書かれています。
はじめに
01 南アフリカ
02 大学時代
03 プロカメラマン
04 再び南アフリカへ
05 イラクへ
06 戦場での生と死
07 リベリア
08 再会
09 写真の力と罪
10 フリーランスとしての出発
あとがき
心を動かされた部分を抜粋します。
▼プロを自覚する取材(南アフリカ選挙)
「時勢を読んでの取材の仕方、
遠隔地でのフィルム現像や写真の電送法やジャーナリスト同士のネットワークづくりなど、
世界中から集まったプロたちに揉まれながら、
僕がこの選挙の取材を通して学んだことは計り知れない。」
という経験をして、
プロとして飛躍できたという一文がありました。
そこに飛び込み、身を置き、もがきながらも写真をものにし、紙面に掲載される。
リスクを取って飛び込んだからこそリターンを得たという話に、
石橋を叩きまくって壊してしまい、結局わたれなくしてしまう自分との違いを実感。
▼写真の社会的意義
「世の中が変わるためには、『現実を正確に知ること』、
それについて『感じ、考えること』、
そして『行動すること』という三つのステップが必要になる。
報道写真というのは、
その第一ステップに必要である『現実を伝える』という役割を担っているのだ。」
▼技術<コミュニケーションの能力
「被写体との人間関係をいかに構築できるかが、そのまま写真に反映してくる」
▼どう撮るかより、何を撮るか
フリーランスになったことで「何を撮るか」が大切。
発表媒体への売り込みも撮影と同じくらい大切。
▼視覚報道の本質的要素はテーマ。
何をどういう視点で伝えるか
いかに効果的に表現/伝達するか
→「感情」「光」「構図」
修羅場である紛争地の経験を昇華させた言葉だけに説得力があります!
東日本大震災を取材した写真集「あの日のこと」ポプラ社については、
次回ご紹介します。