出版社:PHP研究所 (2020/11/6)
発売日:2020/11/6
文 庫:386ページ
ISBN-13:978-4569900858
桜野町にある桜風堂書店を託され、仲間たちとともに
『四月の魚』をヒットに導いた月原一整。
しかし地方の小さな書店だけに、人気作の配本がない、
出版の営業も相手にしてくれない、などの困難を抱えることに。
そんな折、昔在籍していた銀河堂書店のオーナーから受けた
意外な提案とは。
そして桜風堂書店を愛する人たちが集い、冬の
「星祭り」の日に、ふたたび優しい奇跡が巻き起こる。
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『桜風堂ものがたり』続編
「四月の魚(ポワゾンダブリル)」ヒットの立役者になった
一整だったが、奇跡はそこで終わらなかった。
書店だから、1冊売ったら終わりじゃない。
地方の書店への人気シリーズの配本についても
担当営業から依頼をスルーされたり・・・
読んでいると、心が痛い状況が見えてくる。
実際に、電子書籍で読もうとは思わないの?って、何度も
聞かれたけど、電子書籍だと本を捲る感触やインクのニオイが
しないでしょって、答えるに留まっている。
そういう読者の一人でもある自分も、シリーズものが
すぐに手に入らないのは、辛いって気持ちはよくわかる。
それを思う書店員さんの気持ちにも初めて触れた感じ。
そういう細かいところがすごくリアルです。
優しい奇跡・・・本当に優しい人たちによって
桜風堂書店が守られている事が幸せでした。
読書φ(・ェ・o)メモメモ
書店の火を消さないでくれ。その店の客のために。
本を読むことで人生が変わる人々はきっといる。
助けられる魂はある。
だから、書店は町にあり続けなければならないんだ。
お前はその手を、あの本と桜風堂書店にさしのべ守ったのさ。
だからお前にも手がさしのべられたんだよ。
別に珍しいことじゃない。
善人にはそれ相応の報いあるってだけのことだろ。
ひとは正義に憧れ、善意から、誰かを責めるものなのだ。
自分自身にも、そういう心の動きが無いとは言えない。
そう思うとき、ひとという生き物の悲しさと優しさ、
愚かさが切なく、愛おしくもなる
言葉で思いを、伝えようよ。
思っているだけでは、通じないのだ。
本を編む:複数の文章や資料を集めて一冊の書物を
作り上げる「編集する」という意味です。
文はひとなり、って言うでしょ。
同じように絵にも人柄は出るんだよ。絵には嘘はつけない。
意地悪な人の絵は、どこまで行っても意地悪で
善人の振りをすることはできないんだ。
地球は揺り籠のように、たくさんの命の思い出を抱いて
宇宙を巡ってゆく・・・四月の魚で団重彦が書いた言葉。
はらはらと粉雪が舞い始めた。
空から降る優しい言葉のように。