発売日:2023/3/17
文 庫:320ページ
ISBN-13:978-4087445022
同僚たちが不在のなか、最強最悪の「死神」と対峙することに!?
幽冥推進課が「消滅」し、無職になってしまった夕霞。
同僚の妖怪たちとも連絡が取れない中、藁にも縋る思いで
もう一人の臨時職員・橋姫の元に向かうが、彼女宛の書類で
幽冥推進課が正式に廃止されたと知る。
気持ちを切り替えようとする夕霞だが、職員として
最後に担当した事件の関係者が自殺したという
ニュースを目にして!?
この国に暮らす人々が遺した想いを描くお仕事コメディ。
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シリーズ完結編。
ヒダル神を無事に幽冥界にお見送りした後、職場が消えた?
誰とも連絡が取れず、ヤサグレモードで就活に戻ったものの
前職の話を聞かれて、守秘義務が重くのしかかり・・・
一章 自動運転は児童を見守る緑のおばさんにも反応しますか?
橋姫ちゃんが噂話から仕入れた話で、自動運転の試験中に
決まった交差点で人を感知して止まるバス。現場に赴くと
緑のおばさんの地縛霊がいた。おばさんの未練とは?
二章 就職戦線、怪異なし。
幽冥推進課が消滅し、就職活動に戻った夕霞だが
前職の守秘義務が重くのしかかり、お祈りコースが続く。
そんな中、夕霞を正規社員で迎えたい会社から連絡が?
三章 死神を、お迎えに上がりましょう!
幽冥界に送り届けた少女の母親が自殺していた。
その場所で飛び降り自殺したのは、国交省職員。
これは死神案件だ!そして、やり残した案件。残業だ!
エピローグ、あるいはプロローグ。
タイトルそのままな、いかにもなお話♪
完結編らしい、色んなものを背負いこんでしまう夕霞の
体当たりの行動が、時にウルっとさせて、時に恐ろしく
そして笑ってしまうという、最後まで楽しいシリーズでした。
現実問題を織り交ぜて、本当に勉強になりました。
国交省の書店で売れているってのも、納得です。
今回の読書メモφ(・ェ・o)メモメモ
徒歩にて詣でけり。
徒歩より詣でけり・・・らしい。
都内から群馬某所にいる橋姫ちゃんのいる橋まで
所要駅から歩いて参りますってことだなぁ。
寂寞感・・・寂しく虚しい感じ。
「公務員になりさえすれば倒産はないと思っていたのにさ
よもや所属の課が廃止とはねぇ!」
橋占(ハシウラ):橋の上に立って往来での会話を盗み聞き
物事の吉凶を占うという古い習俗。
心霊スポットの噂の大本は、科学の常識を全力で
ぶん殴ってくる本物の心霊現象かもしれないんですけどね。
怪しい者ではない、を名乗る者に怪しくない者なし。
悪念有りて果てたるものの気、又悪念有る者応じて
悪しき所へと引入る也。
この世に恨み辛みの無念を抱き、自ら命を絶った
地縛霊のこと。それが死神だ。
やりたいことは無様に足掻いてでもやっておかないと、
絶対に後悔するからね。
分水嶺(ブンスイレイ):ビジネスにおける分水嶺とは
物事の方向性が決まる分かれ目
残業:幽冥推進課に在籍中、やり残してしまった業務
就職活動によるストレスで、私が不治の現代病たる
厨二病(チュウニビョウ)を発症していたとしても問題ではない。
自分たちより不幸な私たちを見て自分は大丈夫だと心の中で
せせら笑って、もっと不幸になれと願いながら日々観察。
苦しんでる人を見かけたら、安全な場所から眺めて
蜜の味に舌なめずりをするクズ供が寄り集まって生きる。
他人事だと切って捨てて、子供が可哀そうだ、親が
無責任だと、そんな上っ面の言葉で終わらせて
いい話なんかじゃない。
死に逝く子供に手を差し伸べられなかったことは、
本当であればこの国で生きる大人の誰もが恥じるべき事
たまげるを漢字で書くと、“魂消る”となるわけですが、
人間が本当に仰天すると魂が抜けたようにしばらく
フリーズするんだなぁ、としみじみ実感した。