発売日:2020/8/20
文 庫:288ページ
ISBN-13:978-4087441482
津波に引き裂かれた親子の想い。
受け止めるにはあまりに重く──。
国土を不法占拠する「元国民」=地縛霊を立ち退かせる
幽冥推進課の職員として働く夕霞。
今回、出張先の気仙沼で出会ったのは、東日本大震災による
津波で引き裂かれた親子が抱え続ける悲痛な想いだった。
被災地の傷の深さと問題の大きさに怖気づく夕霞だが……。
一方、秋田にある夕霞の実家では思わぬ事件が発生して!?
個性的な妹&母親も登場する、笑えて泣けるあやかし公務員小説!
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シリーズ第5弾
不当に国土を占拠している地縛霊と言われる元国民様が縛られる
要因を解決し、幽冥界へご案内するのが幽冥推進課のお仕事。
夏季休暇の日程で悩んでいた夕霞に新しい依頼が・・・
一章 いつまでも心配しなくていいんだよ
依頼の現場は気仙沼市。東日本大震災の様子を報道で
知ってはいても、実際に見て感じる事とは大違い。
その最前線での危険を知らせる電話にどう対処する?
二章 夕霞の里帰り
案件を解決した足で実家に帰省した夕霞は、仏間にいる
祖母の地縛霊とご対面。その未練は予想外で・・・
無事に解決はしたが、妹の夜露には反感を買って・・・
三章 夕霞の里帰り 延長戦
実家の最寄り駅から1駅先で、幽霊バスが走っている?
繰り返される同じシーン。それは誰の未練なのか?
調査の最中に何故か妹が制服姿で軽トラに?
幕間 寝たふりをしていた火車が夕霞の妹に姉のことを
頼まれた。けれどそれは・・・
東日本大震災を題材にした話はキツイです。
映像で流れた場所に、ネッ友さんがいるのを知っていたので
連絡が付かなかった時の恐怖がフラッシュバックする。
現地の人達はそれどころじゃなかったと思うけれど。
だからこその話に涙腺崩壊でした。
他2作は、夕霞の実家でのお話。
妹も霊感あったのねぇ。更に、前に突き進むまっすぐな
妹の姿に、夕霞も応援を心に決める。いい姉妹だ。
今回の読書メモφ(・ェ・o)メモメモ
サバイバーズ・ギルト:戦争や災害、事故、事件、
虐待などに遭いながら、奇跡的に生還を遂げた人が、
周りの人々が亡くなったのに自分が助かったことに
対して、しばしば感じる罪悪感のこと。
爪跡と傷跡の深さに、恐れと怖れと畏れを感じるのは
人であれば当たり前のこと。だが生者と死者が入り混じった
被災地に渦巻く思いが強いほど当事者たちの努力だけのみでは
成し得ないこともある。
外から来た者だからこそ、患部にメスを入れられることもある。
怖じけず怯まず立ち止まらず、しっかり前を見て
彼らと向き合え。
無気力・無頓着・無感動・・・
被災したとかしないとかは関係ない。最後まで人生を立派に
生ききるということは、どんな人間であろうとも苦難が伴う
偉業なのだ。
マコモの茣蓙の上にいろんなお供えものが載ったご先祖様を
お迎えする精霊棚と、その横には小さな食器類に盛られた
施餓鬼棚まである。(夕霞の実家は秋田県鹿角市)懐かしい。
えーかげんにしぇ! ぶたらぐど、このばがげがっ!
東北の血が入っていると理解できる方言です(^◇^;)
SDメモリーカードの元である金属製シリコン
あれの原料はケイ石。つまり石なのだ。
石が世界を記憶する