発売日:2014/12/22
文 庫:259ページ
ISBN-13:978-4101800226
「私、死んでいるの?」「はい。ご愁傷様です」
梶真琴(カジ マコト)が、喫茶店で耳にした不可解な会話。
それは、保険外交員風の男が老婦人に契約書のサインを
求めている光景だった。
漫画家志望で引きこもりの梶が、好奇心からその男を
追及したところ、死んだことに気づかない人間を説得する
「死神」だと宣(のたま)う。
行きがかり上、男を手伝う羽目になったのだが──
-----------------------------
二度目ましての作家さん
「残念ですが、あなたはもう死んでます」
「あら、私ったら死んでいるの?」
「はい。ご愁傷様です」
初っ端から軽すぎる「お前はもう死んでいる」宣言!
北斗の拳のケンシロウか?
しかも、それを言ったのが死神ですか?
いやいやいや!おかしいでしょ。
まぁ~普通は詐欺を疑いますよね。
しかも、死神の一般的な描写は骸骨が黒マント羽織って
大鎌を背負って黒い馬車で、どこかに走り去る・・・
ところがこの死神は、超絶美形の上に、ピンストライプの
スーツ姿(いつの時代だ)で、アタッシュケースを持っていて
更に保険まで取り扱っている。( ゚ ▽ ゚ ;)エッ!!
そしてよく喋る!情景描写のごとく、よく喋る。
脚本のような会話多数の小説?
シリーズ1巻だから、状況説明がメインになっていて
症状と状態と会話で説明。
死んだのに動いている理由と、契約書にサインしないと
どうなるかとか、そうのを説明しながら営業している。
保険まで進めているのは、せめて葬式代だけでもという
残された人たちに対する配慮?
ともかく、死んだことに気付かないで日常を
つい送っている死人に、現状と、その後を教える。
それがコミカルでテンポ良くて、仕事を手伝わされている
ダメ男こと、梶真琴(カジ マコト)目線で伝えられるから
続きが気になって、サクっと読んじゃいました。
何より、死神の仕事が組織立ってるのが面白すぎる!
シリーズを追いかけますよぉ~
今回の読書メモ φ(・ェ・o)メモメモ
「ここで素敵なお知らせが!なんとこの世に
死なない人間はいません!みんな死にます。
全員死にます。この点だけは、お約束できます!」
【魂】が肉体を保つには限度があるんです。
限界に達した肉体は【崩壊】します。
文字通り、崩れ落ちるんです。腐って・・・
運命の扉は、突然開かれるものよ
たまに気がつかない人がいるのね、自分が死んだことに。
で、朝、普通に起きてしまう。死んだのに。
人はよく「意志の力」なんて言葉を使いたがるけど
本当にすごいのは「無意識の力」のほうなんだよ。
習慣的行動はこの無意識の力が作用してる。
ほとんどの人間は「言いたいこと」しか言わないんだよ。
「言うべきこと」じゃなくて「言いたい事」ね。
抓った程度の痛みは日常的にあったため、記憶を
再生しやすいんです。「抓ったら痛いはず」という記憶が
その感覚を呼び覚ますんです。
でも骨折の痛みは日常的じゃないでしょ?
だから再生されにく。
「なあ、人間は死んだらどうなるんだ?」
「前にも言ったけど、ネタバレ禁止なんだよ」
「【魂】は意識とは違う。【魂】は考えたり、意志を
持ったりできないの。君が考えているのは、あくまで
肉体に属する脳。死んだけど、【魂】という動力で
かろうじて保持されている肉体が、思考を可能にしている。
生き物は何で死ぬの?祖母にそう聞いた事がある。
順番に死ななきゃ、この世がてんで狭くなってしまうからだよ。
生まれてくるもののために、場所をあけてやらないとね。
いやぁ~楽しい。
新しい現象を考えて活字にしてくれるのが嬉しい。