発売日:2020/4/3
単行本:256ページ
ISBN-13:978-4087717037
香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。
元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、
古い洋館の家事手伝い。
その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで
客の望む「香り」を作る仕事をしていた。
人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない
秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める
親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。
一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの
「孤独」に気づきはじめていた。
「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、
ドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作
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独特の感性と表現が癖になる作家さん
タイトルに「香り」が入っていると惹かれます。
調香師っていうのも、独特でスペシャルな存在ですよね。
洋館で家事手伝いのバイトをする事になった一香。
雇い主はニオイに敏感過ぎる調香師:小川朔。
一香は声を色で感じ、朔には香りが見える。
声も香りも、見えないのに表情が伝わる。
感情が濃縮されている。
源さんの、こだわりの野菜やハーブ。
体の内側と外側から自然を取り込んで
浄化されていくみたいでホッとする。
静かなのに色々なイメージが湧き上がる。
朔の特殊な仕事を取って来る新城。
朔と一香の適切な距離感。
色々な事情に真摯に向き合い、限りなく正解に近く、
思いやりに溢れ、静かに怒り、傷付き、心揺れる。
香りは永遠に記憶される
これは、すごくわかる。
未だにドキっとする瞬間が香りにはある。
やはり、この人の物語はとても好きだ。
続編があると聞いて、探しても品切れだったので
他の新刊と一緒にamazonで注文しちゃった(^◇^;)
今回の読書メモ
匂いには耐性ができるから。
あぁ・・・香害と言われる強すぎるニオイは
耐性ができてるから本人は気付かないのね・・・
朔(さく): 新月 月の見えない夜
本当に才能のある人は見えないものまで描ける
現実のものを描きながら、現実にはないものを
見せることができる
それが人の心を動かす芸術だと思っています
嘘つきの臭いだけがどうしてもダメ
自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに
身体にストレスがかかるからね。
ある意味、たくましい。
もちろん、息を吐くように嘘を吐く、病的な嘘つきもいる。
逃げてはいけない、なんて道理を聞かなくてもいいよ。
そんなのは、人を殺す正義だ。
無花果の天然香料は毒性が強いから化粧品には
使用しない。合成香料で再現する。
無花果もだけど、ベルガモットなどの精油には
光毒性があって、紫外線を浴びると肌にダメージを受ける
モンシロチョウの翅はレモンの香り
発売日:2023/4/20
文 庫:288ページ
ISBN-13:978-4087445091