後宮の検屍女官2/小野はるか | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

 

 

発売日:2021/11/20
文 庫:272ページ
ISBN-13:978-4041117767

後宮にうずまく疑惑と謎を検屍術で解き明かす
中華後宮検屍ミステリ第2弾!

後宮を揺るがした死王の事件からひと月半。
解決に一役買った美貌の宦官・延明(エンメイ)は、
後宮内の要職である掖廷令(エキテイレイ)に任ぜられる。
だがその矢先、掖廷獄で大火災が発生。さらに
延焼した玉堂の中から首を吊ったとみられる妃嬪と、
刃物をつき立てられた宦官の遺体が見つかった。
宦官に恋慕した妃嬪による無理心中と思われたが?
延明は、検屍となると唯一覚醒する
ぐうたら女官・桃花(とうか)と再び事件に向かう。
-------------------------
シリーズ第2弾。

「掻き傷」「玉堂」「愛のため」の3篇

前作で侍女の盗難行為の責任で、暴室送りとなった
友人:才里の為に、わざと罪を犯し苔打ち刑を受け
妃嬪の再検屍を条件に才里を暴室から出すことを
延命に了解させた桃花。

無事に、才里と共に織室(機織)に降格された桃花。
延命は、後宮内の掖廷令に任じられるが、その直後
掖廷獄で火災が発生し、延焼した玉堂で妃嬪と
宦官の遺体が発見され、無理心中とされたが・・・?

「薬屋のひとりごと」と似ていると言って
1巻で読むのをやめた人には同情しますが(^◇^;)
内容的には全然違うところに焦点をあててます。
しかも・・・いやいや・・・
読んだ人だけ、後から楽しめます(@´゚艸`)

祖父から学んだ検屍「無冤術」によって
謎を解決していく検屍ミステリともいえます。

時代背景や当時の風習や制度、検死の作法等、後宮や
宦官の残酷な面や心情描写が丁寧に描かれていて
その情報量が凄くて重いです。

役職についている延命自らが、自らを蔑み、
消えることのない屈辱を抱え続けている。
後宮を出れば、子孫繁栄を捨て去った存在だと
侮蔑に晒されることも知っている。

そんな延命にとって、桃花の存在は逞しくも
眩しくて、救いになっているのだと思う。
連作短編となっているので、その場の謎は
ちゃんと解決されるのでストレスはないですが
既に黒幕の存在を臭わせている。
絶対にいる。誰だ??
って期待だけで読み続けます。


今回も色んな蘊蓄やセリフがありました。

宮刑 男は腐刑:性を切り取る。
女は椓刑(たっけい):木づちで腹部をひたすら打ち、
子宮を下がらせて女門を塞ぐ。

検屍には、銀の簪だけでなく、酒粕やもち米を使ったり
ごま油を鼻の下に塗ったり、生姜を口に入れると
臭いが気にならなくなるという。

幸福や不幸は他人と比べるものではありません
幸福は得た本人がそれを喜ばしく思えばそれでよいのです。
不幸とて同様です。
その胸の苦しみは、つらさは、不幸の大小によりません。
痛いものは痛いのですから、なんら恥ずべきことでは
ありませんわ。

死者の無念の叫びに耳をふさぐことの方が
よっぽど尊厳を踏み躙っているとなぜわからないのか?