ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲/大塚 已愛 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2019/4/24
文 庫:320ページ
ISBN-13:978-4041079553

ロシアで発見されたルーベンスの新作。
それを「贋作」と断じる美貌の青年との出会いが、エディスを
贋作に宿る怪物との戦いに巻き込んでいく。

贋作に宿りし悪魔を祓え―
少女×人外の麗しきコンビが謎に挑む。
19世紀末の英国を舞台に繰り広げられる、絵画を巡る冒険活劇!
第4回角川文庫キャラクター小説大賞 大賞受賞作
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二度目ましての作家さん。
前回読んだ「鬼憑き十兵衛(旧題:勿怪の憑)」が面白かったので
第4回角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉を受賞したという
本作を読むと決めた(^◇^;)

舞台は19世紀末。ヴィクトリア朝時代のロンドン。
父の遣いで、ロンドンの画廊を訪れた男爵令嬢のエディスは、
展示されたルーベンス未発表の「真作」と言われる作品を
「贋作」と断言した美貌の青年に出会う。

数日後に画廊を再訪したエディスは、突如色彩が反転した
異形の世界に閉じ込められ、絵の中から現れた怪物に襲われる。
間一髪のところを救ってくれたのは、先日の青年で
サミュエルと名乗った。

贋作から生み出される異形のモノ達と、陰で蠢くモノ。
その陰謀に巻き込まれていくエディスなのだが……。


ヴィクトリア朝時代は、シャーロック・ホームズや
黒執事や憂国のモリアーティなどの作品の舞台。
お貴族様達の優雅で煌びやかで窮屈な世界。

ネガレアリテとは、贋作の絵が己を恥じ、陰画(ネガ)が
可視化され、世界が反転して現実(レアリテ)になる世界。
ネガに対して、元の光の世界がポジ。なるほど。

見られることで認識され存在する絵画に魂が宿るが
贋作であれば、同時に羞恥心や魂の瑕疵を隠している。
それをエディスは無意識に暴いて観ていた。
そんな彼女に、普通の者には届かない絵の声を
拾ってあげるといいとアドバイスをくれた
ブラウンという紳士。

贋作の絵が己を恥じるという考え方に驚いた。
偽物づくりの手法や、作者ではなく、絵そのものが
作られ意志を持つ。初めてかもぉ~

中野 京子さんの怖い絵シリーズを読んでいて
本当によかったと心底思いましたよ。

本作に出て来る作品のほとんどが、読んだ本にあった。
すぐに絵が浮かんでくるから助かったぁ

異形の世界に乗り込むサミュエルとエディス。
絶対に守るというサミュエルの言葉を信じ異形のモノと
戦うサミュエルを見守る。
武器は日本刀。斬りつける時に唱える詩。
そして異形のモノの想いはエディスが受け止める。
そんな感じで進むお話なんだけれど・・・

考えてみたら、エディスもサミュエルも
ブラウンも、ある意味、本物じゃない。
サブタイトルに納得しました(^◇^;)

その秘密が明かされるのを期待して
続きを読みます。
っていうか、発想がすご過ぎて、サミュエルは美形で
しかもエディスもサミュエルも超絶真面目で鈍い(○ ̄m ̄)
二人の変化も楽しみです。