鬼憑き十兵衛/大塚 已愛 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2021/11/27
文 庫:400ページ
ISBN-13:978-4101034614
 

父の仇を討て! 若き剣豪の熱い死闘が幕を開ける。
寛永十二年、熊本藩主・細川忠利の剣術指南役を務める
松山主水大吉が暗殺された。
主水の隠し子・十兵衛は父を襲った十五人の刺客を
続けざまに斬り裂く。
二階堂平法秘伝の技〈心の一方〉によって。
僧形の鬼・大悲を連れ、父の暗殺を企てた者への
復讐を誓う十兵衛。
だが、金色の髪に深い海のような瞳をもつ少女と出会い……。
時代伝奇小説の新たな傑作! 
恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した新たな才能!
日本ファンタジーノベル大賞2018受賞作。
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初めましての作家さん。

 ↓クリック レビュー
Mirokuさんの復活レビューを読んで 即購入しました(^◇^;)

「恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛」だもの読むでしょ~

仇討ちものと、簡単に括る事のできない歴史伝奇もの。
天草の乱の少し前、日朝間で微妙な事件が
勃発していた隙間に縫いこまれたお話です。

熊本藩主・細川忠利の剣術指南役:松山主水大吉が
暗殺された。
秘密裏に主水から剣術を叩きこまれていた十兵衛は、
主水が実の父だと告げられたその日に父親を失った。

刺客を抹殺しながら、山中のあばら家に入ったところ
偶然とはいえ、僧侶姿で超絶美形の鬼が憑くことになり、
更に、金髪碧眼の美少女を助けることになるのだが、
これらがことごとく、特殊な存在だったりする(^◇^;)

更に、この少女を狙っているのが、平安時代を舞台に蠢く、

有名なアレだったりして、ダークな香りがプンプン。
いやが上にも期待が高まるってもんでしょ。

松山の血を引くものにしか受け継がれない奥義も
十兵衛は見事に継いでおりましたね。
格闘シーンの描写も結構リアルで、仇討ちだけでなく
熱くてピュアで、思いやりに溢れ、最後は・・・
まるで某おとぎ話のハッピーエンドバージョンですよ

肝心な時に役に立たないと言われた

僧侶姿の超絶美形の鬼の大悲さんも、
八百年間惚れっぱなしの女がいるというところが
またツボだったりする。
さすがは、日本ファンタジーノベル大賞!

本作では、本当に印象に残る言葉が多かった。
 超絶美形の鬼の大悲さんを見て十兵衛は思う
  美というものには本当に善悪がない
  魔性というには神々しいが、神聖というには禍々しい、
  そんな姿だ。境界線の上に立つ美であろうか。

噛み付き、というのはな、神憑き、という意味だ。
憑く代償として、少しばかり血を貰ったのさ。

 一瞬、ヴァンパイアを連想したけど、
 大悲さんは、一般に言われる<鬼>ではなく
 何かの事情で住処を追われ、山中に隠れ住むように
 なった存在の「オニ」=「天狗」ということで
 「隠」という字がなまったものだという。

 出た!「隠」 
 よろず建物因縁帳に出てきた「隠」ではないですか!
 一瞬にして、ラストのシーンが脳内を駆け巡りました。
 こういうのって、ワクワクしますねぇ

鎖骨というのは、聞くところによれば、
妖の力の源であるらしい

 そうかぁ~。mokkoが鎖骨フェチだったのは
 区境の妖精だったからなのねぇ~(〃▽〃)ポッ
 スンマセン 内輪ネタです<(_ _)>

人というのは、自分の望み通りのことしか受け容れぬから
逆にその通りのことを言えば安堵して勝手に救われる

剣を交えることで相手を理解できる、とかいう考え方も
あるようだが、主水の教えは真逆のもので
戦いの最中に相手を理解した者は死ぬらしい。
剣を交えるということは、相手を殺すか、自分が
死ぬかの一つに一つだ。二つは選べない。

古来、変化に長けた化け物を調伏するには、
まずその正体を見破ることが肝要であるらしい。

人というのは目に見えるものなら何でも
滅ぼせるという、そういう生き物だ。

 十二国記で、幼い頃に傲濫(ごうらん)を調伏した
 泰麒を思い出しましたぁ


アニメ「ハイキュー!」に出てきた先生のセリフで
「見よ。古強者。烏野の復活だ」というのがある。
この古強者・・・初めて活字で見ました(^◇^;)

いやぁ~楽しかったぁ~
まさに美味しいとこどりの物語
それなのに、歴史伝奇ものとして成立している
これは他の作品も読まなくっちゃ!です♪