発売日:2012/8/25
文 庫:267ページ
ISBN-13:978-4041004395
全身にみなぎる憤怒と威厳、「皇女ソフィア」―
凄絶な姉弟喧嘩の末に、権力を握ったのは?
甘やかな香りが漂う、ボッティチェリの最高傑作、
「ヴィーナスの誕生」―
美の背後に秘められた、血なまぐさい出生の物語とは?
自らを死神になぞらえた、「死と乙女」―
実際に画家とモデルを襲ったその後の運命は?
名画に秘められた人間心理の深層を鋭く読み解く22の物語。
文庫書き下ろしも収録したシリーズ第2弾。
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(; ̄ー ̄)...ン? 第2弾?? 順番間違えた??
発売日順に読んだから、出版の順番が違ったのかな?
ビックリしたぁ~(^◇^;)
さて、表紙絵の「皇女ソフィア」
男かと思ってましたぁ~
全身にみなぎる憤怒と威厳!まさにそのまんま。
その背景を知って、その表情の意味を知る。
その激情の瞬間を切り取ったかのような絵は
恐ろしい以外の何ものでもない。
ヴィーナスの誕生
このほどまでに美しい絵なのに、その背景が恐ろしい。
そして、現代は常時つるぴかヌードに侵されている。
腋毛はだめなのに、ヘアは存在を許される。
絵画のつるぴかヌードに夢を見て、リアルな現実に
ウンザリする。これは恐ろしい。
メドゥーサの首
人は気絶する時、黒目を上転させる(ベル現象)が
こちらは逆に下転。なおさら恐ろしい。
これが恐怖というエンターテイメント。
何を描かなかったかでその画家の特質がわかる。
ケンタウロスの戦い
射手座のmokkoとしては、これは痛い
ケンタウロスは半人半馬と思っていたら、この絵画では
粗暴で好色で大酒飲みで、自らの獣性を抑えられない
半人半獣(射手座のシンボルの賢者は例外らしい)
この部分の解説だけで十分に恐ろしかった(-。-;)
ファリネッリと友人たち
描かれている4人の芸術家たちは実力ひとつで
地位を築いた事で共通しているが、個々の説明で
カストラート(去勢歌手)の話が怖かった。
他作品で知ってはいたけど、親が一か八かの勝負で
強制的に手術をさせていた。
女性で言うところの遊郭に売るみたいなことか・・・
その成功者の背後にいるカストラートの残骸を
考えると恐ろしい。
ジン横丁
荒廃した貧民街で安酒を飲んで正体を失う
決して埋まる事のない階級・教育・貧富の差に
絶望して、アルコールで辛い現実を忘れようとした。
戦後の日本でも似たようなことがあったという。
それを考えると恐ろしい
死と乙女
その絵も背景を考えると恐ろしいのだが、
16歳で美術アカデミーに合格したシレーの翌年に
連続で不合格になった超有名な人物の事が書かれていて
それが一番恐ろしかった。
毎回思うのですが、絵画の背景を知ることによって
人間の残酷さ、愚かさ、おぞましさに震えがきます。
絵が怖いというよりも、中野さんの解説が怖いのです。
色んな事を知ることが恐ろしいのです。
絵画展では、是非とも中野さんの解説を聞きながら
絵を観て回りたいです。