発売日:2000/11/17
文 庫:200ページ
ISBN-13:978-4087471243
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琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような
安らかな音が鳴る仕掛け。
操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。
孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。
しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。
病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが…。
少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作の他
「夏緑陰」「栗樹(カスタネア)」「紺碧」「紺一点」などを収録。
中学生の男子を主人公にして、思い通りにならない歯がゆさと
無力さに葛藤する心のうちを、切なく描いてます。
透明で儚く、それでも静かに流れる時を凝縮しています。
「紺碧」「紺一点」の続編、「紺極まる」が発売されています。