人間界に紛れ込んだフクロウの化身に出会ったら、
同じ鳴き真似を返さないといけない―
“都市伝説”に憑かれた男の狂気を描いた
オール讀物推理小説新人賞受賞作「フクロウ男」
をはじめ、親友を事故で失った少年が時間を
巻き戻そうとする「昨日公園」など、
人間の心の怖さ、哀しさを描いた著者のデビュー作。
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朱川作品は7作品目にして、やっと
デビュー作を読みます(^◇^;)
初めましての朱川作品は、「世にも奇妙な物語」で放送された
↓クリック レビュー
「栞の恋」の原作がかたみ歌に入っているのを知って
読んだのがきっかけですが、「世にも・・・」繋がりで
「昨日公園」が本作に収録されてます。
前は覚えていたらしいんですが、忘れてしまったぁ(T□T)
「アイスマン」
夏祭りの神社の境内で、少女に誘われて行った見世物バス。
そこで目にしたのは「河童の氷漬」
その後、サラリーマンとなった主人公は、荒川土手に
見世物バスを発見するのだが・・・
あぁ~何というか、いかにも昭和初期的な雰囲気で
見世物小屋ってのが、既に怪しいんだけど、これは
予想外の結末でした。
「昨日公園」
公園で小3の息子とバドミントンをしていた主人公。
息子にジュースを買いに行かせる時、この公園は出ると言われ、
昔、公園で遊んだ帰りに死んだ親友の事を思い出す。
翌日、同じ時間に公園に出かけると、昨日の場面が再現される。
親友を救いたい一心で、行動を起こすのだが・・・
「世にも奇妙な物語」で放送された時は、昔は覚えていたらしい。
すっかり忘れてしまったけど、これも、予想外の結末で
泣けてしまいました。
「フクロウ男」
主人公は江戸川乱歩の愛好者。
口裂け女、赤マントに続く都市伝説「フクロウ男」を自作自演。
更に噂を広げようと、遠く離れた町に住み、行動をエスカレート
させるのだが・・・
口裂け女の噂はすごかったぁ~
パソコンも携帯も無い時代なのに、何故か口裂け女の
移動ルートが学校で噂になっていた。
今、どこに入った。そろそろ来る!って。
あの熱狂を作り出そうとしたんだね・・・
これも最後の一言で仰天しました。
「死者恋」
若くして雪山で自殺した画家に恋した二人の女性。
一人は、死体のみを描く画家となり、そこそこ売れている。
彼女を訪ねてきた女性フリーライターに、もう一人の女の異常性を
話して聞かせるのだが・・・
これは、怖いわ。どっちも怖いわ。オチも怖いわ。
色んなタイプの怖さが詰まってます。
「月の石」
リストラ対象を選んだことを後悔する課長は、通勤電車から見える
マンションの窓に、リストラした社員の姿を見る。
今度は、独り暮らしのまま病死させてしまった母親が・・・
勇気を出してその部屋を訪ねてみたら・・・
誰もが経験する後悔。わかってはいても、どうしようもない。
失ってわかる大切さとは言うけれど、だからこそ、無条件で
甘えていられた少年時代の思い出は貴重であったのだろう。
5つの短編集。
どの作品も懐かしい言葉やシーンが散りばめられていて
不自由だった時代のノスタルジーに浸れます。
時々読みたくなるんですよね。
世にも奇妙な物語「栞の恋」