発売日 : 2010/1/13
文 庫 : 222ページ
恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。
作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、
ぎくしゃくするばかり…。
ふたりのやり取りを、可笑しく、そして切なさをこめて描く「木蓮」。
恋人同士が一緒に暮らしたことから出会った二匹の雌猫。
彼女たちの喧嘩だらけの日々、そして別れを綴る表題作。
ほか、日だまりのように温かい「女ふたり」の六つの物語。
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初めましての作家さん。
「ランドセル」
ロスで偶然再会した小学生時代の仲良し。
ランドセル作戦で、離れないようにしていた二人は・・・
「灰皿」
夫を亡くした主人公が、子供から勧められて、一軒家を
賃貸に出して、マンションに移り住んだ。
決まった入居者は亡き夫が憧れていた作家で・・・
「木蓮」
恋人の娘を一日預かることになり、子供嫌いなのに作り笑顔と
ご機嫌取りに必死になるも、神経を逆撫ですることを
平気で繰り返す娘にイライラが頂点に!
「影」
地味な男女の結婚が決まり、祝福ムードだったが
旦那の意外な思いに同情して関係を持った事がバレて
会社を辞めることになったのだが・・・
「しずく」
夢を持って仕事をしていた夫婦に飼われていた
2匹のネコが、夫婦の生活が変化するにつれて、
変化を感じながらも、すぐに忘れて、やがて・・・
「シャワーキャップ」
28歳同士で同棲を決めたものの、彼の様子が怪しい。
引っ越しを翌日に控え、手伝いに来た母親が呑気で
イライラしていたのだが・・・
女性目線の6つの物語。
短編集で読みやすい上に、モヤモヤが
ストンと胸の底まで落ちきるような感じがいい。
表題作の「しずく」が、ネコ目線とはいえ
心臓鷲掴みで、泣けてきます。
ネコ好きさんにはたまらないお話かもしれないです。