私の家では何も起こらない/恩田 陸 | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

 

ページ:224ページ
発売日:2016/11/25

小さな丘に佇む古い洋館。
この家でひっそりと暮らす女主人の許に、本物の幽霊屋敷を
探しているという男が訪れた。
男は館に残された、かつての住人たちの痕跡を辿り始める。
キッチンで殺し合った姉妹、子どもを攫って主人に食べさせた
料理女、動かない少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年―。
家に刻印された記憶が重なりあい、新たな物語が動き出す。
驚愕のラストまで読む者を翻弄する、恐怖と叙情のクロニクル。
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あらあら・・・
あらすじで登場人物たちがおおよそわかってしまいますね(^◇^;)

連作短編集のような形をまとった「丘の上にある洋館」という
1つのフォルダーの中に入った物語

洋館にたどり着いた、もしくは生活していた者達の記憶の
1つ1つを名前を付けて保存したファイル。上書きはしない。

そして物語を刻んだ者達は、そこから動くこともなく
物語の聞き手を待っている。そんな感じでしょうか。
そしてもれなく浸食されていく・・・

小説家が新しい主人になろうとしている時の話で
「俺と彼らと彼女たち」が楽しかった。

修繕をまかされた大工の親子と、難癖をつけて
料金を安くしようとする不動産業者に対して、
洋館の住人たちとのタッグが最高。
実際に、似たような話を聞いたことがあって
それを思い出してしまった。

社会人1年生の時。
1つ上の先輩の幼馴染の人の話なんだけど
彼の家は古くからある旅館を営んでいた。
住まい側にある古い大きな姿見があるんだけど
そこから出入りしている輩がいるらしい。
先輩は何度も幼馴染の家に泊まりに行っているから
慣れたらしいんだけど、最初は驚いたみたい。

そこでは色んな事が起こるんだけど悪意はない。
一番驚いたのが、女将と霊のおつきあいだ。
洗濯ものを干してから、先輩達を連れて買い物に出かけ
途中で雲行きが怪しくなったと思ったら
女将が拝むような仕草をしたという。
案の定、帰る途中で雨が降って来たんだけど
旅館に戻ったら、ベランダに干していた洗濯物が
部屋の中に入っていた。
モチロン、畳まれてはいないが、濡れずに済んだらしい。

話が逸れました。丘の上の洋館に住む人は
それぞれの記憶を共有したんだろうなと思います。
「世界はみなあたしたちになる」
ほら・・・内容はサクっと読めるのに、よーく考えると
怖いですよねぇ~(^◇^;)
不思議な感覚のホラーでした。