注文の多い注文書/小川洋子、クラフトエヴィング商會 | mokkoの現実逃避ブログ

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文 庫:222ページ
発売日:2019/6/11

サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」、
村上春樹の「貧乏な叔母さんの話」、内田百閒(ひゃっけん)の
「冥途」など、5つの物語に登場する“この世にないもの”を
小川洋子が注文し、クラフト・エヴィング商會が探し出す…。
はたして「ない」はずのものは、注文主に届けられるのか?
現実と架空が入り混じる世界で、2組の作家が
想像力の火花を散らす前代未聞の小説。
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小川さんの小説は2冊しか読んでいないのだけれど
どちらも心臓鷲掴みの作品でした。
その小川さんと、クラフト・エヴィング商會のコラボ!
ワクワクするなという方が無理です。

真っ先に連想したのが小川さんの「薬指の標本」
まさかまさかの標本繋がり! ↑クリックレビュー

 

クラフト・エヴィング商會の事は、長野まゆみさんの
初期作品の流れで知った「どこかにいってしまったものたち」

長野さんの心くすぐる言葉と不思議なモノ達が、
リアルで本になった感じで、即買いしました。
明治から昭和20年代まで、珍品を商った商会の「3代目」が、
商品の解説書や宣伝用のチラシなどが再現されてます。

本作にも、この3代目に絡んだ依頼があります。
繋がってるぅ~と思ったら、小躍りしちゃいました。

前置きが長いですね(^◇^;)
以下、5つの「ない」はずのものを小川さんが発注します。
注文の品はすべて実在する小説に登場するものたちです。

●人体欠視症治療薬
●バナナフィッシュの耳石
●貧乏な叔母さん
●肺に咲く睡蓮
●冥途の落丁

発注は、注文書→納品書→受領書と
通常のビジネスでおなじみの流れで進むのですが
注文書の内容が、「ない」はずのものを説明するもので
細かいニュアンスを伝えようとするものと、間違いを
防ぐための説明も含まれますから注意書きが多くなる。
わかります。すごぉ~くわかります。

それに対しての納品書。
これも、「ない」はずのものを探し出す経緯を
丁寧に説明するので長くなる。
注文者に対する誠意です。

そして受領書。
ビジネスでは受領印押して終わりだけれど
「ない」はずのものを探し出してくれた事への感謝が
綴られているわけです。
5つの話には元になっている小説があるのですが
残念ながら、どれも未読でした。
これを読んでいる人は、もっと深く楽しめると思います。

●たんぽぽ/川端康成
●バナナフィッシュにうってつけの日/J・D・サリンジャー
●貧乏な叔母さんの話/村上春樹
●うたたかの日々/ボリス・ヴィアン
●冥府/内田百閒

心のワクワクは、小さい頃の男の子の秘密基地を
こっそり探しているような気分にもなりました。
いやぁ~楽しかったです。
こんな夢のような作品を生み出してくれたことに
本当に感謝しかないです。(〃▽〃)ポッ

 

 

 

 

バナナフィッシュにうってつけの日 収録↓

貧乏な叔母さんの話 収録↓