マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年/辻村七子 | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ:304P
発売日:2018/2/20

ノースポール合衆国自治州『キヴィタス』は、1億6千万の人口を
収容する人工海上都市だ。
アンドロイド管理局に勤める若きエリート技師、エルガー・オルトン
(通称エル)は、仕事からの帰り道で登録情報のない
“野良アンドロイド"の少年を拾う。
ワンと名乗った少年型アンドロイドとエルは不思議な共生生活を
始めるが、ワンは記憶を失っていた。
人間以上に人間らしいワンと触れ合ううち、エルは彼の過去を
取り戻してあげたいと思うようになる。
キヴィタスの暗部でもある非合法アンドロイド改造屋「サーカス」の
存在を知り、潜り込んだことから、エルとワンは逃れ得ない運命に
巻き込まれてしまい……?
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宝石商リチャード氏の謎鑑定の著者
シリーズを1冊とするなら二度目ましての作家さん
アニメは無視の方向で(^◇^;)

未来の人口都市・・・
読み始めのあたりでは、長野まゆみさんのテレビジョン・シティを
連想してしまいました。
初めて読んだ長野作品で、初めて読まなければよかったと
思ったくらいに数日間、切なさを引きずった作品でした。

本作の裏表紙に書かれた「せめて血の色くらいは赤がよかったな」
というセリフで嫌な予感バリバリ。
しかも、登場するメインキャラが同じ紫系の瞳だった。
同じ色系でも長野さんは菫色、辻村さんはアメシスト色・・・
こういうところにキュンとします。
話が逸れました<(_ _)>

人工海上都市『キヴィタス』
階層によって収入やら生活が区別されていて
色んな業務に特化したアンドロイドが人間と共に生活をしている。
技術が進み情動領域という頭部にあるパーツによって感情などを
学習できるようになっている。

エルは新米のアンドロイド調律師で、持ち場は最上階層である。
ただ、エルが調律師となった環境が特殊で、知識や技術の
習得だけが目的の箱入り施設の卒業生1号なので、
会話での語彙や感情、一般常識がお粗末だったりする。

ある日、エルは野良の美少年型のアンドロイドと出会う。
ワンと名乗った美少年型はアンドロイドでありながら、
豊富な語彙と不遜な態度でエルを驚かせる。
人間以上に人間らしいワン。しかし、共同生活を始めるにあたり
ワンの記憶が削除されていることに気付く。
故障や暴走を引き起こす危険な行為だが運よく記憶だけが
消去され野良となったのだろう。

エルは、ワンの一番古い記憶に、サーカスのテントのような物が
残っている事に気付く。
そしてキヴィタスにある非合法のアンドロイド改造屋
「サーカス」の存在を知り、潜り込むのだが・・・


アンドロイドとかサイボーグとか、違いがわからなかったけど
今更にして理解しましたよぉ。
そして地位と権力を持った輩が、アンドロイドを手に入れると、
小説の中では必ず同じような事をするんだなぁ~
力を手に入れると、そうなっちゃうのかなぁ~(-。-;)

管理局ではハビ主任以外、エルとまともに口をきく人はいない?
エルが浴室に隠している口紅・・・
エルには隠している秘密があった。

ハイスペック幼児で天才馬鹿なエルとアンドロイドなのに
人間以上に人間らしい二人の噛み合わない会話がいい。
後半で、いきなり走り出す物語に、久しぶりの心臓バクバク!
何やってくれちゃってるのよぉ~!!と
心の中で地団駄踏みまくり!
どうしてくれるのこの状況と思ったら、ちゃんと着地させてくれた。
さすがはリチャードを描いてる人だわぁ~(〃▽〃)ポッ

ベタで王道と言えば、その通りなんだけど
その持って行き方が好き。
これはうまく誘導されてしまったなぁ~(^◇^;)

キレているとはどのような状態のことだろう?

アンドロイド流に言うなら、一つの感情情報で情動領域が飽和して
正常な状況判断が出来なくなるエラーだ。
昔の人間はそれを機械の断線に例えた。

なるほど!深く考えた事なかったけど、そういうことかぁ~

楽しく読めましたよぉ~♪
ただ、カバーイラストは、どうにかならなかったのかしら?
この表紙でお客さんを逃していると思うのはmokkoだけ?
この著者を知ってるから読んだけど、リチャードのアニメファンや
小説のファンじゃないと手は出さないと思うなぁ~(-。-;)