エロス/広瀬 正 | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

 

ページ:384P
発売日:2008/9/19

芸能界に確固たる地位を築いた大歌手、橘百合子。
その歌手生活37周年記念リサイタルを前に、
ふとしたきっかけで振り返った過去―
あの時、もし違う選択をしていたら、どんな人生だったのか?
回想はデビュー直前の昭和8年に遡り、歌手になることのなかった
「もうひとつの人生」が浮かびあがる。
そこで見えてきた意外な真実とは。
人生の切なさを温かく包む、パラレル・ワールド小説の傑作。
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初めましての作家さん。


Mirokuさんに頂いた本です。
  ↑クリックレビュー

 

タイトルの「エロス」は、エロイって意味じゃないです。
曲名です。
ってことで、驚きたい人は、安心して読んでください。


入り口は、女性記者が企画した「あの時、ああしていれば」
「ああしていなかったら」という「たられば」のアンケートで
大歌手、橘百合子が歌手になっていなかったら、周りの人間も
連鎖反応を起こして違った人生になっていたかも・・・
と言うところから始まります。

それを現在・過去・もう一つの過去として
交互に語られる。

橘百合子(本名:赤井みつ子)は昭和8年、18歳で叔父の一家を
頼って岩手から上京する。
穏やかに暮らしていたある日、ラジオの修理にやって来た
帝大生の片桐慎一と出会い恋に落ちる。
ここまでは、現在と過去は繋がっている。

分岐点は、叔父の給料が激減したことで、働こうと決意するも
大した特技もないので、ヌードモデルになることを考えるが
時代的にも、かなり勇気のいる行動。
それでも仕事の斡旋所に行こうとした日に
叔父から映画でも見てくるよう言われた。

ここで、仕事を始めるのを1日遅らせて映画を見に行けば
帰り道、ちょっとした事件があり、音楽の専門家である
柚木と出会い、歌手としてデビューすることになる。
これが、「現在」と繋がっている「過去」。

仕事の斡旋所に行って、ヌードモデルになっていれば
「もう一つの過去」になっている。

二つの過去にある世界は、史実に沿って書かれている。
だから結構リアルなんですよ。
そこに、歴史には描かれていない個人的な事件を
うまく紛れ込ませている。
これがミソ!

その中で、現在に繋がる過去は、片桐慎一とは結ばれない。
まぁ~年老いてから再会を果たしはする。
もう一つの過去では、片桐と結ばれる。

両方の過去の淡々とした描写
衝撃的な個人レベルの事件もあるけれど
これ、普通に通勤時に読んでいたら飽きる。
集中力が続かないと想像できるくらいに淡々としている。

けれど、これを読んでいたのは台風で停電していた日。
テレビも見られない。音が無い。
小説の過去も、テレビは普及してなくてラジオなんです。
テレビは開発の真っ最中だったから・・・
読むしかないでしょう。
余計にリアル感も増してたし・・・

で、最後の10Pくらいは、暗闇の中、蝋燭の明かりで読んでいた。
その中の3行のセリフを読んで
!?ハァァ(゚〇゚;)ァア!?
と、素っ頓狂な声をあげてしまった。

オカンが、何だ?と部屋まで来たくらい(○ ̄m ̄)

淡々とした描写で騙された。
個人レベルの事件?成果?の1つだと思っていたのが違ってた。
そんなのあったっけ?くらいに淡々とスルーしてましたよ。
昔の話だから、違う名前で使われてるんだろうなぁ~って。

久しぶりにやられました。
読後、しばらくは脳みそグルグルしてました。

ぶっちゃけ、どっちが幸せなんだって考えさせられる内容とは言え
読後、急速に脳みそが混乱と辻褄合わせを始め
沈んでいいのか、浮き上がっていいのか動揺しまくりました。
おかげで停電の夜、何もすることがないのに
脳みそだけは一時的にでもフル回転しておりました。

これは・・・面白かったんだろうなぁ~
ただし、最後まで読んで初めて言えるセリフです。

やぁ~らぁ~れぇ~たぁぁ~~!
<( ̄口 ̄||)>!!!ノー!!!<(|| ̄口 ̄)>
mokko、久しぶりの嬉しい悲鳴です!