図書室の魔法(下) (上)/ジョー・ウォルトン | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

 

ページ: 301ページ
発売日: 2014/4/27

ページ: 286
発売日: 2014/4/27

15歳の少女モリは精神を病んだ母親から逃れ、一度も
会ったことのない実父に引き取られたが、親族の意向で
女子寄宿学校に入れられてしまう。
周囲になじめないモリは大好きなSFと、自分だけが知る
魔法やフェアリーの秘密を支えに生きてゆこうとする。
やがて彼女は町の読書クラブに誘われ、初めて共通の
話題をもつ仲間と出会う。
だが母親の執拗な悪意は彼女を苦しめつづけ…。

1979‐80年の英国を舞台に、読書好きの繊細な少女が
日記に綴る青春の日々。
ヒューゴー賞・ネビュラ賞・英国幻想文学大賞受賞作。
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初めましての作家さん。

Mirokuさんのレビューを読んで購入

  ↑クリック Mirokuさんのレビュー

モリとモルは双子の姉妹。
両親は離婚して、病んだ母親と工場地帯の村に住んでいた。
黒い水に黒い煙に悪臭。
そんな環境の中でフェアリーの力を借りて
魔法で工場を潰そうとするが、ファンタジーのような
劇的な変化は何も起こらなかった。
けれど翌日の新聞には工場閉鎖の記事が・・・
これを魔法と捉えるか、偶然と捉えるか・・・

現実世界での魔術は意外な偶然を次々に連鎖させてゆくだけで
それ以上の事は何もできない。
モリはそれをちゃんと理解している。だからもどかしい。

モリは事故でモルを失った。自らも片足に障害を負い
杖無しで歩くのは困難な状態で、常に痛みを伴っている。
そんなモリは、ようやく狂った母親の元を離れ
実父に引き取られたが、一緒に住んでいる3人の伯母の意向で
女子寄宿学校に入れられてしまう。
この学校が古い体質の学校で、変な習慣があったりする。
障害があることで、当初はバカにされていたが
成績優秀なため、部分的には一目置かれていた。

偶然にも実父も本好きで、数冊のSFを貸してくれたことで
好きなSFの世界が広がり、定期的に出す手紙にも
小説の感想を書くことになる。
校内にある図書室でも、本を取り寄せてもらうことで
読書量も増え、そのことで司書の先生から
読書クラブに誘われ、作品や著者のことで議論する
楽しさを知り、仲間も出来た。

病んだ母親の執拗な嫌がらせは寮に入っても続く。
学校近くのフェアリーの力を借りようとするのだが
故郷のフェアリー達のようにはいかず、覗き見するだけ。
フェアリーと話をするとはいっても、経験から
想像しているだけなのだが・・・
こういうところが、結構リアルっぽい。
モリは読書クラブの中に、信頼できる人をみつけ、
これまでの出来事を伝える事になるのだが・・・


読んでいて、自分が対峙する事になるシーンや感情を
SF小説を引き合いに出して説明している。
この量の多さに驚いた。
SF小説大好きな人は、小躍りしたくなるでしょう。
mokkoは、指輪物語以外ほとんどわからなかったけれど
Mirokuさんのレビューに出てきた作品が多かったのは
わかりました。

フェアリーや魔法は否定はしません。
見たことはないけれど・・・(^◇^;)
それでも、立ち上がる勇気はもらえると思う。
小説から勇気をもらう事もある。
出てきたセリフで自分を励ますこともある。
周りとの関わりも、もちろんあるだろうけれど
そういうのをすごく感じる作品でした。