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闇色のソプラノ (文春文庫)
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ページ数:444P
発売日:2002年10月
夭折した童話詩人・樹来たか子の「秋ノ聲」に書かれた
「しゃぼろん、しゃぼろん」という不思議な擬音の正体は?
たか子の詩に魅せられた女子大生、郷土史家、刑事、
末期癌に冒された男、医師、そしてたか子の遺児・静弥が
神無き地・遠誉野に集まり、戦慄の事件が幕を開ける。
驚愕の長篇本格ミステリー。
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舞台は東京の西の果ての遠誉野市。
男友達の家で手に取った同人誌に載せられていた1篇の詩に
衝撃を受けた真夜子。
著者は無名の童謡詩人:樹来たか子。
卒論のテーマにすることを教授に伝えたものの、一部の研究者の
間では有名なものの、若くして亡くなっているため作品が少なく
資料を探し出すのは大変だと言われた。
著者について調べ始めた矢先、偶然にも郷土史研究家の殿村と出会い、
図書館のコーヒーラウンジで樹来たか子の話をしていたら
弓沢という男性が話しかけてきた。
末期癌で余命いくばくもないとしながらも、弓沢もまた
樹来たか子の「秋ノ聲」詩に書かれた「しゃぼろん、しゃぼろん」という
不思議な擬音の正体に強い興味を抱いていた。
そこで、樹来たか子は結婚後に詩を書かなくなった事や
離婚後に息子と二人暮らしをしていたこと、そして
自殺をしたことを知る。
そして、その息子が遠誉野市の病院に通っている事も。
ここで樹来たか子に興味を持った3人が顔を合わせたのだが
弓沢が余命わずかの状態にもかかわらず、たか子の故郷である
山口へ向かい、収穫を得て遠誉野市の病院に戻り、
真夜子と殿村にその顛末を伝えたのだが、その弓沢が
動けるはずのない体を引きずって外へ出て殺された。
事件を担当した刑事は、たか子の遺児:静弥を疑うが
彼には完ぺきなアリバイがあった。
その後、静弥の友人がひき逃げされ亡くなった。
更に、たか子の死が自殺だとされている事に疑問を持ち
調べ始めたところ、他殺の疑いが濃厚になるのだが
だとすると、たか子を殺したのは誰なのか・・・
また、他殺とわかっていながら自殺として事件を終わらせた
真意とは何か。
歴史の中に突如現れた遠誉野市。
樹来たか子をめぐる人間が偶然?にも集まり
25年前のたか子の死に触れようとした途端に
止まっていた歯車が動き出した。
たか子の死を巡り、点と点が繋がっていく。
そこから導き出される真実とは・・・?
いやぁ~長いです。
一つのことがわかると、別の疑問が浮かび上がる。
それを解決しようとすると、辻褄が合わなくなる。
その度に振り回されて、眩暈すら感じて、最後に待っていたのは
予想外の結末でした。
これは、ある意味やられました。
推理の出来ないとはいえ、スルーしてました。
読後感は、うわぁ~~・・・って感じです。
「秋ノ聲」に書かれた「しゃぼろん、しゃぼろん」という
不思議な擬音の正体については、長野まゆみさんの作品で知って、
実際に見に行ってきたんですよね。
言われてみれば、「しゃぼろん、しゃぼろん」と聞こえます。
ただ、初めて聞いた時に「しゃぼろん、しゃぼろん」という
音を活字として書けるかと言われたら、無理です。
そういう言葉を使えるところも、北森氏のスゴイところだと
改めて感じました。
平成最後の今日。
テレビでやたらと言っているもんだから、個人的にも
平成最後のレビューにしてみました(^◇^;)