ページ数:266P
発売日:2015年12月
蔵にある“いわくつき”の着物の管理を、亡き祖母から
引き継いだ高校生の鹿乃。
ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が、
祖父に宛てて書いたという恋文を渡されて…?
一方、鹿乃の兄・良鷹は、野々宮家の別邸に
この時期だけ現れる、風鈴草の着物を着た
女性について調べていたが…。
京都、下鴨が舞台。
古い物に宿る想いをひもとく、温かな人情譚。
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シリーズ第3弾。
「金魚が空を飛ぶ頃に」
行きつけの喫茶店の店主:満寿が、祖母に預けたという
金魚柄の着物の事を聞いた鹿乃。
早速蔵から出して衣桁に掛けたところ、赤い金魚が青くなった。
満寿から詳しい話を聞くと、切ない思い出話が隠れていた。
友人の梨々子(満寿の孫)と奈緒と一緒に持ち主捜しに奈良へ向かう。
そこで持ち主の想いを知った鹿乃は・・・
この話では、満寿と、孫の梨々子とのギクシャクした関係も
修繕されることになって、ダブルで美味しいお話でした。
ゴーヤは許容範囲だけど、ピーマンは許せない。仲間だ!良鷹!
「祖母の恋文」表題作
祖母が懇意にしていた骨董店:北窓堂の店主が、お盆参りを兼ねて
鹿乃を訪ねて来た。
そこで渡されたのは祖母の恋文と、それに関連する帯の話だった。
慧のアドバイスで見つけた帯は、唸り声をあげていた。
祖母と祖父の馴れ初めが、あまりにも可愛らしくて
成り行きで預かった帯のなぞかけも楽しかったです。
万葉仮名(まんようがな:平仮名が出来る前の主に万葉集に
使われていて、言葉遊びの趣向もある)
「山滴る」
アンソニー(春野)が鹿乃を訪ねて来た。
1枚の写真を見せたところ、そこには4人の男女が映っていて、
その一人が祖母だった。
もう一人の女性の遺品の中から出てきたという写真。
その女性の着ている春秋柄の着物に見覚えのあった鹿乃は
早速蔵から着物を出してみると、途端に冬山になってしまった。
春野の紹介で、遺品を受け取った田村教授(慧と兄の母校の先生)
に会いに行き、話を聞いた鹿乃は・・・
アンソニーが鹿乃に接近してきたのが、ちょっと不安(^◇^;)
「薔薇が標準装備って、王子さまかよ・・・」by 慧 (○ ̄m ̄)
今回も和歌に詳しい人なら連想できる内容になっている。
もちろん、春野や慧に教えてもらってる事も多いけど
着物に込められた想いは切なかった・・・
「真夜中のカンパニュラ」
骨董店「如月堂」の店主からお遣いを頼まれた孫の真帆。
下鴨ではなく、別邸に良鷹がいるというので、訪ねると
前庭の風鈴草が一面に植えられているところに女性がいた。
気が付くと、姿が消えてしまっていた。
良鷹は、もう何年も見続けている光景だったのだが
彼女が立つ続ける意味とは・・・
これは・・・いつものお話とは違っていて
思いっきりミステリしてました。
良鷹も、今まで気づかなかったとわ・・・
真帆ちゃん、お手柄です。
そのおせっかいって、恋だと思うよ(○ ̄m ̄)