宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ/辻村七子 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ


ページ数:302P
発売日:2017年02月

銀座の店「エトランジェ」を閉め、正義の前から
姿を消してしまったリチャード。
新たな店主として現れたリチャードの師匠、シャウルから
情報を得た正義はイギリスへと向かう。
リチャードの秘密の原因となった何かがある国へ。
旅の途上、リチャードの親族と名乗る男ジェフリーが
正義に近づいてきて? 
美しき宝石商を苦しめる過去の因縁と、
「正義の味方」の決断は!?
--------------------------
シリーズ第4弾

「?」
銀座の店から姿を消したリチャードの後に現れたのは
リチャードの師匠であるシャウルだった。
更に前作で偽のトルコ石のアクセサリーを売っていた詐欺師が
正義に近づいてきて、リチャードが出国する時の写真を見せ
リチャードが隠していた伯爵家の名前を口にした。
奴のバックにいるのは、リチャードの親族?
焦り、モヤモヤした正義の気持ちを言葉にしてくれたのは
鉱石の天使、谷本さんだった。
そしてイギリスに向かう事を決めた正義だったが
動けば正義を観察していた彼らの方から近づいてくると・・・
既に何かが動き始めている?

「アレキサンドライトの秘めごと」
思い立ったら即行動!飛行機に飛び乗って、乗り換えの空港で
通訳してくれた白人男性は、リチャードのいとこだった。
信じられないタイミングで登場した、いとこのジェフリーは
クレアモント伯爵家の宝石と増悪の呪いといってもいいほどの
相続物語を語った。

「導きのラピスラズリ」
ヒースロー空港に到着した正義はジェフリーにロンドン観光巡りに
連れまわされ、自撮り写真をSNSにアップされ続ける。
そして大英博物館の「世界の宝石コレクション展」を見ながら
これが「リチャードに相続させたいダイヤ」と同じ世界の単位だと。
体調を崩してる上に、最悪な話を聞かされ過ぎた正義の目に
1枚のレシートが目に入った。
銀座でよく行っていた店のレシートだった。
リチャードがここにいる?と思った正義は・・・

「ホワイト・サファイアの福音」
ジェフリーから脱出することに成功したリチャードと正義だったが
逃走先のホテルまで追いかけてきたジェフリーと兄のヘンリー。
リチャードの人生をメチャクチャにした兄弟。
精神を病んでいるという兄のリチャードを助けてという涙の訴えに
逃走をやめて協力するという正義。
呆然と立ち尽くすリチャード。
兄弟に連れられて伯爵家で待っていた管財人に連れられ
相続の為のダイヤの置かれた厳重な警備の部屋へ向かう二人。
そこで正義がとった行動とは・・・

「バイカラー・トルマリンの戯れ」
銀座の店に戻って来たリチャード
相変わらずウッカリ褒めの正義に意趣返しとばかりに
褒めまくるリチャード
そして・・・師匠のシャウルさんを交えて
優しい時間が流れ出した。というオマケのお話し。


いやぁ~大英博物館からの逃走劇は
久しぶりに心臓バクバクしましたよぉ~
メッセージに込められた意味の解読をしてる正義が
リチャードの教えを思い出しながら展示されている
宝石の中から正解を引っ張りだした時は
リチャードに代わって、グッフォーユーと叫びましたぁ!

この話の登場人物たちは皆が優しい。
優しいという言葉では軽く思えてしまうほどに
相手への思いやりは深い。
誰かを守るために大好きな人に対して悪役を演じる。
誰かが誰かの為にしたことが、別の誰かを深く傷つける。
傷つけた事に耐えられず、精神を病んでしまう。
タイミングが少しずれただけで、愛情は呪いに変貌する。
なんて長くて苦しくて美しい物語なのだろう。

思えばウッカリ系の大学生の正義がリチャードをキレイだの
美しいのと連呼するから、周りは勘違いをしてしまう。
けれどそれは、思ったことを口にしているだけ。
何の裏もなく、美しいものは美しい。
そういう感性を持ち合わせているだけ。
鈍いくせに相手への思いやりは一級品。暴走気味だけど(^◇^;)

そしてリチャードもお客様への心配りが半端ない。
だからこそ人間やめてるくらいの美しさだけでなく
お客様との繋がりを保ち続けていられるんだなぁ~と・・・
そして他人への優しさの加減を知らないせいで
何度も誤解されてきたというところが正義に似ている(○ ̄m ̄)

美しい心を持った者が美しい宝石を扱う
その思いやりの心が美しい。
宝石が纏う美しさだけでなく、宝石を求めるお客様に聞かせる
宝石の逸話やエピソードが、とてつもなく優しい。
だからこのシリーズが大好きです。

谷本さんが正義に教えた「ザルツブルクの小枝」の話は
ステキでした。


恋愛論となってはいるけれど、人付き合い全般に言えると
正義の気持ちを納得させてくれました。
こういう例え話も宝石や鉱石や結晶のお話なので
本当に楽しいシリーズです♪

たぶん、同性や異性に関係なく、互いに信頼を深めながら
続いていくお話が好きなんだなぁ~と今更ながら思いました。
だから、その片割れや仲間がいなくなるのがすごく怖い。
好きで読んでいるシリーズにも、そういうのが見えて
自分で笑っちゃいました(^◇^;)
さて、続きを読みますよぉ~