解錠師/スティーブ・ハミルトン/翻訳:越前敏弥 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ


ページ数:571P
発売日:2012年12月

このミステリーがすごい! 2013海外編
週刊文春海外ミステリーベストテン海外部門 
第1位

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。
だが彼には才能があった。
絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。
孤独な彼は錠前を友に成長する。
やがて高校生となったある日、ひょんなことから
プロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に……
非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、
MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など
世界のミステリ賞を獲得した話題作
---------------------------
初めましての作家さん
Mirokuさんに頂いた本です。

 ↑クリックレビュー
 
幼少期のトラウマから言葉を失った少年マイク。
マイクが解錠師になるまでの少年期のエピソードと、
解錠師になってからのエピソードが交互に語られてます。

ひょんなことで鍵の構造を知り、解錠することに
興味を覚え、その作業に夢中になった。
それを思いもよらず披露する事になってしまったマイク。
その特技?によって、先輩の悪だくみに乗せられて、
断る事もできたのに、結局断れずに他人の家に忍び込み
結果、マイクだけが逮捕される。

忍び込んだ家で、奉仕活動をすることになったマイクだが
その家の娘アメリアの絵の才能に興味を覚える。
やがて話すことが出来ないマイクは、絵を通して
アメリアと会話することになる。

解錠師になってからのストーリーでは
借金を抱えてしまった奉仕作業先の主人と
その娘アメリアを救うために悪い事と知って金庫破りをやる。
結果、アメリアの家族は救われ、危険も去るのだが、
その世界から抜けることが出来なくなる。
最悪を想像しながらも止められない負の連鎖。

一見、地味な話のようなんだけど、何がすごいって
解錠の描写が見事なのです。
いわゆるピッキングなんだけど、犯罪としては地味な
印象を受けるんだけど、鍵の構造や解錠するまでの
1つ1つの操作や心理描写に緊張感が溢れているんですよ。
マイクにピッキングを教えたゴーストも
解錠を芸術や女に例える程にピッキングを愛している(^◇^;)

どう考えても、このまま進んだら良くないことが
起こるのは誰にでも想像できる。
ただ、嫌な予感を抱えながらも先は読めるんだけど
マイクが言葉を失った原因が語られていない。
その原因となった事件が気になって気になって
結局、悪い予感を感じながらも、原因を知りたいが為に
読み続けました。
もちろん、マイクとアメリアの関係もなんだけどね。

そして物質としての解錠はマイクが、そしてマイクの
心の鍵はアメリアが解錠することになるんだなぁ~と
想像させてくれるんですよね。

これはミステリになるのか?
青春小説と思ってしまったんだけど・・・
いやぁ~面白かったです。