雨の檻/菅 浩江 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

雨の檻 (ハヤカワ文庫JA)/菅 浩江
mokkoの現実逃避ブログ-0602ame
¥469 Amazon.co.jp

発行年月:1993年04月
サ イ ズ:269P 16cm
取扱状況:絶版重版未定

恒星間宇宙船。ここで過す者は宇宙空間ではなく、偽の風景を見て暮らす。
だが、少女の部屋の窓はもう何年も前から雨の風景しか映し出さなくなった―。
宇宙船に閉じ込められた少女の運命を描く表題作ほか、
自ら創造したキャラクターが模型となって動き出すことになった
少女の心の動きを描き、絶賛を浴びた「そばかすのフィギュア」、
著者の原点ともいえるデビュー作「ブルー・フライト」など
7篇を収録した新鋭の初作品集。
---------------------
mirokuさんにいただいた本です。
後に「そばかすのフィギュア」に改題して再刊されている。

SFというと、少々構えてしまうところがある。
体にピッチリした宇宙服?を着て、光線銃をビュンビュン。
訳のわからない理論で作り出された最新機器で・・・等々
著者の世界観を理解するところから始まるから面倒。
ナンチャラ理論なんて無理ですからぁ~(((p(>◇<)q)))
貧相なイメージで申し訳ないが、mokkoのイメージなんて
そんなもんだったのですよ。

しかし!菅さんのSFは変に意識しないで読める。
確かに設定はSFしてるんだけど、面倒な解説はない。
それがさも当たり前に存在しているかのようにそこにあって
描かれているのは、あくまで人間。

アッ( ̄O ̄!・・・これもSFでいいんだ・・・って思わせる。
知らずに感情移入してしまっている。
切なくて哀しくて温かくて・・・
今回は読後がたまらないですね。何かしら心に残る。
SF苦手なmokkoでもスンナリ読めるのがいい♪

「雨の檻」表題作
新天地を求めて航行する宇宙船の無菌室で隔離され
女性型ロボット:フィーと二人きりで過ごす少女:シノ。
フィーが喜ぶからと、子供であり続けたシノだったが、
フィーに少しずつ狂いが生じてきて・・・

「カーマイン・レッド」
いじめられっ子のサチオは絵描きになろうと進学したが
そこでも孤立してしまった。
そこに芸術を学ばせようと送り込まれたロボット:ピイ。
ピイと一緒にいる時だけは、心地よかった。そして・・・

「セピアの迷彩」
オリジナルの望む生き方に縛られたクローンのところへ
事故で記憶を失くしたオリジナルが会いに来た。
もう一人の自分とそれぞれの思いとは・・・

「そばかすのフィギュア」
人工知能と擬似神経を組み込まれたフィギュアは
物語から抜け出したかのごとく動き出した。
物語のキャラに自分の姿を見た女学生は・・・

「カトレアの真実」
発病すると死に至る病気が蔓延する町で、自らも発病し
開き直って生活をしていた少女の前に、頬にカトレアの
刺青をした男が現れ、少女を救うと言うのだが・・・

「お夏 清十郎」
日本舞踊の家元・奈月には、意識のみを過去に跳ばす時遡能力がある。
歴史の真実を探る為、テストケースとして過去の日舞の観察が行われた。
副作用で舞えなくなった奈月は、思うように育たない後継者に
苛立つ一方で、過去の世界に戻りたいとも思っていた。
その理由とは・・・

「ブルー・フライト」高校二年時のデビュー作
優秀な人材を生み出す為、試験管ベビーとして生まれた子供たち。
共同生活を送る彼女達には当たり前のように期待が掛けられる。
象徴としての母親を与えられながらも夢に向かう彼女達は・・・


デビュー作が高校の時に書いた作品ってのが驚いた。
確かに他の作品を読んでから「ブルー・フライト」を読むと
荒いなぁ~とは思うけど、高校生で既にこういう発想が
あるってのがスゴイ。
乙一氏も、最初の作品は高校の時に書いたんだよね。
やはり書くために生まれてきたような人って、早い時期から
物語が頭の中に溢れてるのかしら?恐れ入ったわ(^◇^;)

「お夏 清十郎」の日舞の稽古シーンやら葛藤が
結構リアルだなぁ~と思っていたら、日舞の名取さんだったのねぇ
日舞のシーンだけでなく、芸術へのこだわりという点で納得しました。
この作品、結構好きです。
「そばかすのフィギュア」は、ある意味、夢ですよねぇ~
マジで作ってみたくなりましたよ(^◇^;)
短編集とはいえ連作ではないので、色んな世界を
楽しませていただきました。
今のところ、菅さんの本で外れはないなぁ~
次は何を読もうか楽しみが増えました♪

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)/菅 浩江
¥714 Amazon.co.jp