恩田陸選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎003 | mokkoの現実逃避ブログ

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恩田陸選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎003 (講談社文庫)/佐野 洋
¥730 Amazon.co.jp
発行年月:2008年09月
サ イ ズ:403P 15cm

当代を代表する人気作家が、1970年からの30年間に発表された
膨大な数の短編ミステリーのなかから、"お気に入り"をセレクトした、
「謎」シリーズの第3弾。
ミステリー・ブレンダーは読書人、恩田陸。
1972年、1982年、1992年の3年間より、8つの短編を収録。
30年の年月が、作家を、小説を、どう進化させていったのか。
あなたに約束された至福のとき。
ここでしか味わうことのできない濃厚な「謎」の時間をどうぞ。
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1972年、1982年、1992年版に発表された日本推理作家協会の
推理小説年鑑 推理小説代表作選集 53作品の中から
恩田陸さんが8篇を選び集めたスペシャル・ブレンド・ミステリー

「死者の電話」佐野洋 1982年
一人娘を嫁に出した夫婦の夫目線で話は進みます。
半年もすれば孫の顔が見られると楽しみにしていた妻が
電話に出てみると、娘の元婚約者からだった。
しかし彼はアメリカで事故死したはず・・・
娘も葬儀には参列していたし・・・彼は誰?

書き出しからホラーか?と思ったけれど、違いました。
っていうか、二転三転する内容と深まる謎に、
どうなっちゃうんだ?と読んでるほうが不安になる。
結末だけは、割とよく目にする内容だけど
そこに着地させるとは思わなかったぁ~
短編でこんなに振り回されていいいのか?いいのだ!♪

「一匹や二匹」仁木悦子 1982年
小学生の仲良し男児二人組が、空き地で子猫を2匹拾った。
近所の家を訪ね歩いて、猫を飼ってくれる家を探していて
最後の家を訪ねた時、様子がおかしいと思い中に入ってみると
廊下に血が流れ出しているのが見えた。
恐る恐る上がり込んでみると、ナイフが胸に刺さって人が死んでいた。
しかも逃げ出そうとしている犯人らしき男を
二人は目撃してしまい・・・

殺人事件と猫の飼い主探しが同時進行している。
子供らしく純粋で、明るくて危ういんだけど
なんとも爽やかなミステリ
タイトルの意味は最後に分かります。
そういうことかぁ~о(ж>▽<)y ☆

「眠れる森の醜女」戸川昌子 1972年
妻に家出され、ずっと探し続けていた夫が、事故に遭った女性が
意識不明のまま、病院で眠り続けているという噂を聞き
訪ねていくと、顔をマスクで覆われた人がベッドで眠っていた。
どうやら探しに来たのは、その男だけではなかったようで
マスクをしているのは、事故でひどい状態になっているかららしい。
あきらかに妻ではないのに、妻だという男の態度に病院側も
夫だと認めてくれたのだが・・・

いやぁ~なんとも官能的というか、色と欲とサスペンスですかね?
戸川さんのイメージそのままって感じ。

「純情な蠍」天藤真 1982年
上条千吉45歳。すべてに中ぐらいのごく平凡な都民のひとり。
妻とは結婚15年目で、子供は二人。ごく平均的な家庭。
日常も平々凡々な日々だったが、仕事が終わる寸前に1本の電話が掛かる。
同じ頃、自宅にいる妻の元に訪問者が・・・
そして昨日とは違う日々がやってきた。

これも予想外の結末が用意されてましたぁ~
読みながら心配になるのよ。
大丈夫か?って不安になるのよ。
最後にどんでん返しが待ってたわぁ~

「奇縁」高橋克彦 1992年
交通事故が縁で深い付き合いをするようになった被害者と加害者。
加害者の男性があまりにも誠意に満ち満ちて
車で2時間かかる距離なのに病院には毎日かかさず訪れ
退院してからも、仕事で近くに来ると山菜を持って訪ねてくれる。
そんな彼にトラブルが持ち上がり、弁護士である被害者は
彼に力を貸すのだが・・・

いやぁ~色んな「怖い」があるけれど、これも怖~い!
ちょっとずつ、え?もしかして?っていうのがわかってきて
じわりじわりと増してくる怖さがたまりませんってば。
うあぁ~って感じよ。ホラーじゃないですよ(^◇^;)

「アメリカ・アイス」馬場信浩 1992年
高校生活の最後に起きた忌まわしい事件について
トビーは刑事の命令で事件のあらましを書かされている。
カリフォルニアの田舎にある有名高校に留学してきた日本人2人。
キヨコが回された事を聞いたノボルは、関与したヤツらに
制裁を加えたのだが、やられた奴らはノボル殺人計画を企てる。
トビーはその計画を聞いていたが、ノボルには教えなかった。
そして・・・

うわぁ~うわぁ~怖いよぉ~
でも面白いよぉ~
ところどころ予測はつくんだけど、その巧妙さが怖い!
何故にそこまで?と思ったら、そういうことだったのかぁ~と唸る。
いやぁ~参りました。

「帰り花」長井彬 1982年
「茶道名宝展」の1日が終わった閉店後のデパート催事物会場で
ボヤ騒ぎがあった。
重要文化財を含めた名品が展示されていたから関係者はうろたえた。
しかし、全人類の宝とも言える茶入れの「初花」がすり替わっていた?
だとしたら犯人はボヤ騒ぎの時に側にいた限られた関係者の中にいる!

骨董を扱った作品は好きだ。
魑魅魍魎が蠢く世界の緊張感がたまらない。
本作に出てくる「初花」も、歴史の中で何度も消えては現れ
名誉の明かしとして、たらいまわしにされた逸品である。
途中、関係者の一人が徹底的に歴史を調べ上げた内容を
歴史上最後の持ち主である人物の物語として語られる。
そこに出てくる「帰り花」
あまり歴史物語は好きじゃないんだけど、これは別。
おかげで、今まで読んだ骨董を扱った物語とは
まるで印象が違ってしまった。真逆と言ってもいい。
あぁ~こういうのも好きだぁ~(〃∇〃)

「マッチ箱の人生」阿刀田高 1982年
客が極端に少なかった水曜日のスナック・バー
店じまいしようとしたところに常連客が入ってきた。
男がポケットから出したマッチ箱の中に
吸い殻が1つ入っていたのを見て、ママは男がどこから
この店に寄り、その相手が男であることを言い当てた。
10年ほど前に、似たような事があったという。
その内容とは・・・

安楽椅子探偵ものみたいだけど、結構ひねってあります。
鈍いmokkoは最後の方になってようやく
もしかして?と気づいたんだけどね(^◇^;)
だって他の方に気を取られて、深読みし過ぎたんだものぉ~


読んだことのある作家さんは、仁木さんのみで
他は全て初体験でしたぁ~
3年間の短編ミステリーの傑作に選ばれた中から
更にピックアップしてるから、全部が面白くて当たり前?

唯一苦手なのは戸川作品かなぁ~
欲求を押さえつけてるところなんて、スポ根モノを
連想してしまって疲れてしまった。
何が悲しくて本を読んでまで苦しい思いをせにゃならんのだ。
ってことで、ちょっと好みではなかったです(^◇^;)

他は、文章的にも読みやすくて好きだし、どれもが面白かったです。
ミステリって色んなのがあるのねぇ~

そして何がステキかっていうと、最後の解説には、
恩田陸さんのブックガイドまである。
著者の作品の中でお勧めとか、名作だけでなく
この作品(短編)が気に入ったら、これもお勧め♪っていうのを
載せてくれてるんですよぉ~(〃∇〃)
めっちゃ読みたくなりました。

この謎シリーズ、他にも出てます。
mokkoみたいなミステリ初心者は、こういうところから
好きな作家さんを発掘するのもいいかもぉ~


謎001 東野圭吾選
70年、80年、90年より極上の8作を抽出

スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001 (講談社文庫)/日本推理作家協会
¥730 Amazon.co.jp

謎002 宮部みゆき選
71年、81年、91年より極上の7作を抽出

スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎002 (講談社文庫)/生島 治郎
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謎004 京極夏彦選
73年、83年、93年より極上の8作を抽出

京極夏彦選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎004 (講談社文庫)/著者不明
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謎005 伊坂幸太郎選
74年、84年、94年より極上の8作を抽出

伊坂幸太郎選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎005 (講談社文庫)/陳 舜臣
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謎006 今野敏選
75年、85年、95年より極上の8作を抽出

今野敏選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎006 (講談社文庫)/著者不明
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