最近読んだ本 | mokkoの現実逃避ブログ

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つい先日読み終わったばかりなんですが
これが久しぶりのヒット作だったんです。
今年読んだ本の中でも間違いなく上位に入ります。
今まで読んだ本の中でも上位に入るくらい感動しました。
今の時期にもピッタリの作品だと思います。

遠い旋律、草原の光 (ハヤカワ・ミステリワールド)/倉阪 鬼一郎
¥1,890 Amazon.co.jp

軽井沢フィルを率いる美貌の指揮者・火渡樹理と難病を患う美貌の新進画家
緑川弦が出会ったとき、三代にわたり二家を縛る不思議な因縁が露になる。
第二次大戦中に起きた樹理の祖父の割腹自殺と弦の祖母の密室での縊死事件。
短歌と楽譜、そしてロシア文字に隠された美しくも哀しい暗号とは?
樹理と弦にのみ聴こえるヴァイオリンの旋律が二人を真実の高みへと導く。
現代のサナトリウム文学的恋愛音楽ミステリ。
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プロローグから鳥肌立ちっぱなしでした。
久しぶりに感動的な表現に出会いました。
作曲者の思いを受け止め旋律として解き放つ時のイメージが
まるで小川洋子さんの「猫を抱いて像を泳ぐ」で描かれた
チェス盤の上で繰り広げられる宇宙のような表現で
そのイメージの広くて豊かな様が見えるようなのですよ。
久しぶりに活字を追いながら感動で鳥肌立ちました。

定められた枠に音符を配置することによって旋律が生まれる。
定められた枠に詞を配置することによって短歌が生まれる。
定められた枠に色を重ねる事によって絵画が生まれる。
旋律に言葉を乗せたら歌になり、その全てに物語がある。
音があり色があり言葉がある。
何度も何度も皮膚の表面がざわめくのですよ。
そして互いの表現力に焦がれ、欲する。

暗号については、わりと最初の方でその一部が解き明かされる。
けれどミステリ部分に重きを置いていない。
ミステリのつもりで読むと、ミステリ読みには物足りないかも・・・
これは若き芸術家達の話であり、音と言葉と色の話であり
受け継がれるバトンの話であり、恋によってもたらされた
希望と絶望と恐怖の話でもあり、後悔と試練の話でもある。

物語は最初から哀しい空気をまとっている。
そして物語は交響曲のように編成されているとも思う。
タイトルの意味がわかった時に泣いた(/□≦、)
バトンが渡された時に泣いた(/□≦、)
「ごめん」と書かれた文字で泣いた(/□≦、)
全ての暗号が解かれた時に泣いた(/□≦、)

まさにサナトリウム文学的恋愛音楽ミステリですよ。

読書の秋と芸術の秋を両方楽しめるので
音楽や短歌、絵画に興味のある人には感動できると思います。
実はまだ余韻を引きずってます(^◇^;)