今年のNHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は18日、既に最終回を終えていますが、承久の乱の際に後鳥羽上皇方についた有力御家人・佐々木広綱の息子にして仁和寺寺門跡の道助入道法親王(上皇の息子)の最愛の稚児であった勢多伽丸(享年14)君のことは取り上げられないまま終わってしまいました。
佐々木氏の兄弟(勢多伽丸の父・叔父)の確執のみならずこの戦争の戦後処理について全権を有していた武蔵殿(北条泰時)の采配についてもまったく触れずじまいで終わったのは、他に取り上げるべき事項が山ほどあったことからも仕方ないのかもしれません。
ちなみに三浦義村の四男にして公暁の弟弟子(稚児とも)の駒若丸については中学生の少年俳優が演じましたが、鶴岡八幡宮裏山での公暁の千日参篭中の付き添いシーンぐらいを除けばほとんどセリフの出番もなかったことは残念でした。
識者によっては駒若丸は少年ながら公暁による実朝暗殺のキーパーソンの一人と位置付けられ、長じては三浦光村として宝治合戦で北条氏に謀反を起こし一族と共に自害したキャラクターとしてはものさびしい演出だったと思います。
勢多伽丸の悲劇については決して歴史から埋没されるようなことではなく、熊谷直実と平敦盛のやりとり同様に心の琴線を動かされる事案であることには変わりありません。特に愛する者を若くして失った方々全般に共通する悲哀がここに凝縮されていることは間違いないものと考えています。