報道によると今年7月に東京都で施行された新条例は、強姦など刑罰法規に触れるような性行為や、近親相姦など著しく社会規範に反する性行為を「不当に賛美・誇張」したマンガやアニメを18歳未満に販売しないよう規制するものですが、都の役人の個別想定事例へのコメントがいかにも杓子定規で文化への無知ぶりが苦笑できましょう。
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「都庁の人に聞いてきた」
マンガやアニメに新たな規制を設けた東京都の青少年健全育成条例について先日、都庁の人に聞いてきました。昨年12月の本欄「想像力の領域」で条例改正案(その後可決・成立し、7月に施行)に対して抱いた疑問を書きましたが、記者として書きっぱなしではイケナイと思い、都庁で担当者に質問をぶつけてみたのです。
(略)
こちら 2011年8月29日(朝日)
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要は、いちいち作品に当該性行為が近親相姦など違法でないことを明記しろということですね。
愚かなこの上ありません。
世の中の名作漫画と呼ばれているものの中に例えば成年と18歳以下美少年との父子相関をストーリの重要なポイントとして取り扱って作品もあります。「風と木の詩」を下劣なポルノ漫画と決め付ける都庁の無知ぶりは空いた口がふさがりません。
同じ作者の歴史漫画「吾妻鑑(下)」で僧侶の公暁(源頼家遺児と彼の愛人でどう見ても元服前の美少年駒若丸(後の三浦安村)の濡れ場のシーンも、東京都青少年保護条例等に違反でアウトですか?(皮肉を込めて)
世の中には男女を問わず様々な有能作家による同じような傑作作品はたくさんあります。また、弾圧さえなければ今後も自由に創作展開できるのです。本当に下劣なポルノ作品や作家は自然に淘汰されます。無論、淘汰するのは警察や役人ではなく一般読者です。
己の狭い範囲での固定観念にこだわり次から次へと愚策を実行する独りよがりな知事の裸の王様然とした醜態とそれに追随する付和雷同都議や保身で都庁を上手く遊泳することのみに力を注ぐ愚かな図式が日本の文化を根本からダメにする前兆がアニメ・漫画への露骨な弾圧だと言えましょう。